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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

自衛隊サイバーセキュリティ担当幹部、駐屯地での女性との不適切な画像が流出

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
自衛隊サイバーセキュリティ担当幹部、駐屯地での女性との不適切な画像が流出の画像1
陸上自衛隊のInstagramより

「新年早々、自衛隊の恥さらしもいいとこですよ」

 こうため息をつくのは、ある防衛省幹部だ。この「大騒ぎ」というのは、陸上自衛隊の現役幹部と思しき人物が駐屯地内で制服姿の女性と不適切な行為に及んでいる生々しい写真や詳細な日記がツイッターを通じて流出したというもの。陸自側は現在事実関係を調査している最中だが、本人とされる男性がサイバーセキュリティの担当幹部なこともあり、陸自のセキュリティ意識の甘さが批判にさらされている。

駐屯地で前代未聞の不祥事、問題の幹部がサイバー専門家なのも火に油

 今回の騒動の元となった以下のツイッターは、1月4日に一般人のアカウントから投稿された(現在は閲覧不可能)。

<最近買った中古のパソコンのHDD内に添付のような文書や画像が保存されていました。Aという自衛隊員(1等陸佐?)は駐屯地でこんなことをやっているんですか?「休日出勤の体で出勤して…」などの記載もありますが、もし国民の血税がこのような輩に投入されているのなら許せません>(筆者注・プライバシー保護のため、名前はAとした)

 この投稿とともに、駐屯地で1等陸佐と思しき男性Aがセーラー服を着た女性とキスをする写真などがアップされ、一気にネット上で拡散した。写真に映った男性が問題の幹部と同一人物かどうかについて、陸自は「調査中」として現時点で公式発表はしていない。ただ、「NEWSポストセブン」が1月11日に配信した関連記事によると、A本人とAが勤務する駐屯地の広報班が認めており、筆者の取材でも「本当に違うならとっくに公式に否定するなど何らかの対応をしているはずで、まず間違いない」(陸自幹部)という見方が多数となっている。

 Aについては、過去に取材を受けた記事や公式発表された人事情報などからサイバーセキュリティの担当幹部であったことが窺え、これが火に油を注いだ。勤務中の不適切な行為自体も言語道断だが、「サイバー防衛を指導する立場の人間が自分の恥部を外部にさらされてるようじゃどうしようもない」(同)と批判がいっそう高まったというわけだ。

深まる流出経路への疑惑、ウェブリンクからのマルウェアで流出か

 最大の関心事となっているのは、情報の流出経路だ。前述のツイッターであるようにAが自己所有のHDをデータ消去もせずに中古販売していたとするなら、問題外といわざるを得ないが、ポストの記事によるとダークウェブ上に流出していたという。となると、ハッキングされたということであり、事態はより深刻だ。Aが陸自幹部と知った上で、中国や北朝鮮といった国家、悪意を持った組織や個人などに標的にされた可能性も捨てきれない。

 筆者が取材したあるサイバーセキュリティ専門家は「何かとチェックの厳しい業務用パソコンにあのようなデータを入れていた可能性はさすがに低く、プライベートのパソコンから流出したと見るべき」と分析した上で、以下のように解説する。

「全体の感じや公開された情報の中身などから考えて、国家などが明確にAを標的にしたという可能性は低いと考えられます。確かにAが他国から何らかの弱みを握られていて、言う通りにしなかったから写真をネット上に流出させられたということも考えられなくはありません。ただ、今回のように騒ぎになるだけマイナス。社会的に追い詰められたAが一連の犯行を証言してしまえば、真の目的の達成が困難になる可能性もあります。国家の犯行とは思えません」

 手法についてはどうか。

「手法そのものもそれほど高度でなく、特定個人を狙ったというよりは、ばらまき型のマルウェアに引っかかったと考えるのが妥当でしょう。具体的には、いかがわしいウェブサイトから意図せずにマルウェアをダウンロードしてしまうのがメジャーなパターン。会員制サイトを介して連絡先を交換した異性からショートメッセージでリンクが送られてくるケースや、インスタグラムやツイッターなどのメッセージ機能を利用したものがあります。今回の事案では、問題の男性は複数の女性と関係していたと見られるため、出会い系サイトなどで引っかかった可能性も考えられます。

 また、IDとパスワードのセットは一般の人が思うよりかなり大量に流出していますので、それを使って写真の保存されたクラウドサービスにアクセスされた可能性もあります」(同)

 別の専門家は、国家などに明確に標的にされた可能性も捨てきれないとして、その場合の手法について以下のように話す。

「記者とかヘッドハンター、著名な大学の研究者、求人情報提供者などを装ってコンタクトして、メールの添付ファイルなどにマルウェアを仕込むというケースが考えられる。これらは成人向けサイトなど見ない真面目な人間にもアプローチできるところが強みだ。もしAがサイバーセキュリティの担当幹部として狙われたとすれば、この手法だろう」

 筆者は新型コロナウイルス禍の20年5月に「現代ビジネス」で配信した記事で、ネットからの情報流出事案の最大の要因は「気の緩み」と指摘したが、サイバーセキュリティ専門家であるべきAがプライベートのパソコンであれ情報漏洩させたということが事実であれば、陸自全体のサイバー防衛意識や体制のレベルは非常に低いといわざるを得ないだろう。

 担当幹部のレベルを引き上げるとともに、「怪しいサイトにアクセスしない」「出所不明なメールやファイルは開かない」などの基本的な心構えをこれまで以上に徹底する必要がある。陸上自衛隊は早期に調査を進め、流出背景などを詳細に公開すべきだ。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

松岡久蔵/ジャーナリスト

松岡久蔵/ジャーナリスト

 記者クラブ問題や防衛、航空、自動車などを幅広くカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや⽂春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。
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Twitter:@kyuzo_matsuoka

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