
今月8日に東証グロースに上場した、人気VTuberグループ「にじさんじ」を運営するプロダクション、ANYCOLORの株価が高騰し、同社から“億万長者”社員が続出していると話題を呼んでいる。
ANYCOLORの株価は上場直後から上昇し、上場翌日の9日には時価総額が想定時価総額(450億円)を大きく上回る1600億円を記録。17日の終値ベースでは2196億円まで上昇するなど好調を維持している。
4月28日に東京証券取引所に提出されたANYCOLORの「新規上場申請のための有価証券報告書」の「株主の状況」によれば、同社代表取締役CEOの田角陸氏の株式保有比率は43.11%で、単純計算で上場により946億円の資産を手にしたことになる(17日の終値ベース、以下同)。
また、有価証券報告書に掲載されている株主一覧には同社の取締役、従業員が35名おり、最低の株式保有比率でも0.05%のため、少ない人でも約1億円の資産を手にしたことに。このほか同社従業員とみられる「その他117名」の保有比率も計1.24%となっており、平均すると一人当たり約2000万円を得たことになる。
さらに「新株予約権」、いわゆるストックオプションの欄をみると、同社の取締役および従業員が数多く名を連ねており、一人当たり1500~45000株が付与。一人当たり1000万円から3億円程度の潜在的資産を有していることになる。
“上場なんて二度としたくない”
絵に描いたような“上場ドリーム”が実現したことになるが、こうした夢物語を実現するには、強力な幸運と並々ならぬ努力が必要だと、元ベンチャー企業社員で上場を経験したことがある男性はいう。
「今の時代、一般庶民が一発逆転で大きなお金を得るには上場しかないと思い、上場を目指しているITベンチャー企業に転職した。社長には“給料は安くてもよいから株をいっぱい持たせてくれ”と言って、2年くらい会社で寝泊まりすることもザラというレベルで文字通り休みなしで働いた。
結局うまく上場できて2億円くらい手にして、投資用にマンションや一軒家を数軒購入して、定常的にそれなりの家賃収入を得ているけど、今は転職して普通にサラリーマン生活を送っている。僕自身は住むところにまったくこだわりはないので、妻と子供2人で安い賃貸マンション暮らし。贅沢にもまったく興味がないので、質素に暮らしている。でも、やっぱり給料以外でまとまった収入や資産があると、気持ち的に余裕ができるのは確か」
そんな上場だが、良い面だけではないようだ。別のベンチャー企業役員はいう。