いかに株トレーダーはチャートに騙されるか？こんな事例に要注意

　副業として、資産運用として株取引に関心がある人は多く、その中でも株価の値動きを示す「チャート」を使って売買するトレーダーは少しでも多くの利益を出すために、チャート分析の勉強・研究を日々重ねる。自分が注目する銘柄の「未来」を予測するためである。

　多くのトレーダーはこのチャート分析の研究を重ねることで「買いサイン」「売りサイン」を見い出し、それらを頭に叩き込み、利益を出すチャンスに備えるのだ。

　ただ、チャートは株価の「未来」を予測するために大きな役割を果たす指標である一方で、時にトレーダーを欺く。「確実な買いサイン」が出ていた銘柄が下がり、「テッパンの売りサイン」が出た直後に値上がりすることは決して珍しくない。

『騙されるな！嵌められるな！欺かれるな！株チャートサインを鵜呑みにしない次世代技法』（冨田晃右著、ぱる出版刊）から、こうした「チャートに騙される現象」が生まれる理由と対策に迫る本連載。三回目の今回はこの現象の実例を紹介する。

「ろうそく足」の偽のサインがトレーダーを欺く

　チャートの中にはろうそく足や、移動平均線、ボリンジャーバンド、トレンドラインなどさまざまな指標があるのは、チャートで売買するトレード経験者であればほとんどの人が知っている。これらの形や勢いから目当ての株銘柄の未来の値動きを予測し、確実と思われる「買いサイン・売りサイン」が出たらそれに応じてトレードをする。

　ただ、「買いサイン・売りサイン」に騙されることも多々ある。たとえばろうそく足の場合、実体が長くヒゲが短い「大陽線」や、ヒゲがない陽線である「陽の丸坊主」が下降トレンドの底付近で出た場合、今後株価は上昇に向かうと考えられ、これを「買いサイン」と判断するトレーダーは多い。

　逆に実体が長くヒゲが短い「大陰線」や、ヒゲがない陰線である「陰の丸坊主」が上昇トレンドの天井付近で出た場合は、株価は下降に向かうと考えられ、下降トレンドへの転換を意味するとされている。

　ただ、実際には下降トレンドの「底」と考えられたところで大陽線が出現しても、その後上昇せず、株価が下がることは珍しくない。これに引っかかって買ってしまうと損をすることになってしまう。これが「チャートに騙される」という現象だ。

「三段高下の法則」をどの程度信じるべきか

　また株価には「三段高下の法則」というものがある。これは、上昇トレンドから下降トレンド、あるいは下降トレンドから上昇トレンドに変わる転換点の目安として使われる法則。「一定期間値上がりし、一定期間値下がり」というサイクルを二回繰り返しながら上昇した株価が、三度目に上がったら、今度は下降トレンドに入るというものである。「一定期間値下がりし、一定期間値上がり」というサイクルを二回繰り返して値下がりした株価が、三度目に下がったら、今度は上昇トレンドに入るとされている。

　ただ、これもあくまで「目安」でしかなく、三度目以降もトレンドの転換がなく、三度目の上昇後、四度目五度目と上がったり、三度目の下降後、四度目五度目と下がったりするケースも決して珍しくない。法則を鵜呑みにしすぎると、やはりチャートに騙されてしまうのだ。

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　個人トレーダーであり本書の著者でもある冨田晃右氏はこうした「チャートのダマシ」を回避するのは決して難しいことではない、としてその方法を本書で解説している。ここで紹介した「ろうそく足のサイン」も「三段高下の法則」も、騙されずに回避する方法は存在する。

　そして、注目すべきは本書ではこれらの「ダマシ」を逆手にとって利益を出す方法についても紹介されている点である。チャートを使ったトレードでの失敗を減らし着実に利益を出すために、一読すべき一冊だ。

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