今秋注目の大作映画『ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)』が3日に公開された。早くもネット上では作品への評価をめぐってさまざまな声が上がっているが、同作品を上映する映画館のIMAX上映に対し「周囲が黒の背景に囲まれる額縁上映」「追加料金を払わせておいて通常スクリーン以下」などと厳しい声が続出しているようだ。
「ゴジラ生誕70周年」の記念作であり、ゴジラ作品としては実写映画30作目となる配給元・東宝にとって力が入る同作。監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『永遠の0』『アルキメデスの大戦』で知られる山崎貴。神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介ら豪華キャスト陣が出演している。舞台は太平洋戦争終戦直後の日本。復興半ばの日本に巨大怪獣・ゴジラが現れ、街と人々の生活を破壊していくという設定だ。
観客動員の出だしは好調で、公開初日(午後3時時点)には2016年公開の大ヒット作『シン・ゴジラ』(総監督庵野秀明、樋口真嗣監督/興行収入82億5000万円)との動員対比で265%を記録。『シン・ゴジラ』超えへの期待も高まっている。
以前から指摘される「額縁上映」問題
そんな同作の内容以外の点で議論を呼んでいるのがIMAX上映だ。IMAXとは、4Kレーザー投影システムによって通常スクリーンより鮮明かつ重厚なコントラストの超高解像度映像を実現するもので、画角は1.4:1ほどで通常スクリーンより40%広い映像を楽しむことができる。音声もデジタルサラウンド音響や非圧縮サウンドトラックとなっており、観客は高い臨場感と没入感を体験できるとされる。例えば「グランドシネマサンシャイン 池袋」(東京)のIMAXスクリーンは高さ18m×横26mであり、高さは「ビル6階分」。前方に加えて左右の壁と天井にもスピーカーが備えられている。IMAXシアターを備えているのはシネマサンシャイン系列やTOHOシネマズ系列、109シネマズ系列など一部の大手系列に限られ、概ね600~700円ほどの追加料金がかかる。
ちなみに『ゴジラ-1.0』は邦画で初めてIMAX、MX4D、4DX、ScreenX、4DXScreen、Dolby Cinemaの計6形態で上映されている。
その同作のIMAX上映について、SNS上では以下のような否定的なコメントが続出しているのだ。
<「上下左右全部に黒みが出ること」である。『ゴジラ-1.0』はまさにそれ>
<想像以上に酷かった。縦の黒い部分余りすぎ 慣れるまではマジで狭く感じた>
<通常スクリーンの大きいところの方がさらに大画面だし、何よりも余計な金を取られない。IMAX料金を取った上での額物上映は、基本的に詐欺だと思っている>
<いい加減邦画をIMAXでかけるときは文言入れろよと思う>
10月30日付「映画ナタリー」記事で同作担当者は「シアターの“壁いっぱい”に広がるIMAXスクリーンに映し出されるゴジラのスケール感に圧倒されること間違いなし!」と語っているが、テレビ業界に身を置くX(旧Twitter)アカウント名「ぼのぼの」(@masato009)さんはいう。
「都内の映画館で『ゴジラ-1.0』を観たが、スクリーンの上下左右に黒い隙間が入っているため、画面がスクリーン全体の大きさより一回り小さくなり、IMAXの価値が損なわれていた。都内には大きな通常スクリーンが幾つもあり、それらと同等以下。スクリーンの横幅をフルに使って上下にのみ隙間ができる形であれば許容範囲だが、今回のような形ならわざわざ割増料金を払ってIMAXで観る必要はなかった。
一番問題だと感じたのは、チケットを購入する際に、上下左右に隙間が入る説明が無い点。これでは詐欺だといわれても仕方ない。IMAXでは、予約サイトなどに画面の比率を明記することが望ましい。フルサイズのIMAX上映とそうでないもので料金を変えるのもいいだろう」
また、映画業界関係者はいう。
「実写映画でIMAXのメリットをフルに活かすためには撮影でIMAX専用のフィルムカメラを使う必要があり、特に予算が限られてる邦画ではかなりハードルが高い。ハリウッド映画でも全作品でIMAXフィルムカメラが使用されているわけではない。『額縁上映』の問題は以前からいわれており、もとから大きなスクリーンを備えているシアターであれば、サイズ的には通常料金のスクリーンと変わらないケースもある。ただ、画像の解像度や奥深さはIMAXのほうが高いとされ、音声も臨場感があるとされているので、画面の大きさは同じでもIMAXのほうが良いと感じる人はいるだろう。一方、安くない追加料金を払うのに通常スクリーンと画面サイズが同じで、しかもチケット購入時にその旨の説明がなされないことに疑問を感じる人もいる。個人的には、画面の縦と横の黒い隙間が目に入ると興ざめ感を感じてしまうため、IMAXで額縁上映になるなら多少サイズが小さくても通常スクリーンを選ぶ」
(文=Business Journal編集部)
■公開情報
『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT
配給:東宝
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