カーボンクレジット、日本発で「アジアのルール」づくりへ
ー GX-ETS本格稼働控え2000人規模フォーラム開催 ー

自然由来のカーボンクレジット創出・販売を手がけるGreen Carbon(東京・千代田、大北潤代表)は、カーボンクレジット取引所を運営するCarbon EX(東京・港、西和田浩平氏・竹田峻輔氏共同代表)と共催で2026年11月17日、東京ビッグサイト南展示棟にて「Carbon Credits Journal Forum 2026|Asia Carbon Credits & GX Rulemaking Summit」を開催する。GX・脱炭素・サステナビリティ担当者ら2000人以上の来場を見込み、事業会社300社以上が参加する見通しだ。両社は本フォーラムを「アジア最大級のカーボンクレジット特化型フォーラム」と位置づけ、日本発でアジアの市場ルールづくりを主導する狙いを打ち出している。
背景にあるGX-ETSの本格義務化
このフォーラムが持つ意味は、単なる業界イベントの規模拡大にとどまらない。日本では2026年4月、企業の温室効果ガス排出量に上限を設け、過不足分を市場で売買する「GX-ETS(日本版排出量取引制度)」が本格稼働に移行し、対象企業には排出枠の遵守が法的に義務づけられる段階に入った。対象は直近3年度平均でCO2直接排出量が10万トン以上の事業所を持つ法人で、製造業や電力、化学、鉄鋼、自動車など大規模排出セクターを中心に約300社規模とされる。経済産業省の小委員会では、2026年度の排出枠価格を下限1700円、上限4300円(トン当たり)とする水準案も示されており、企業にとって排出量の管理とクレジット調達は、もはや任意の社会貢献活動ではなく経営に直結する実務課題となりつつある。
こうした制度環境の変化を追い風に、J-クレジットや海外ボランタリークレジットを扱う市場・プラットフォームへの関心が急速に高まっている。今回のフォーラムは、この機運を捉えた民間主導の情報発信・ネットワーキングの場として設計されている点が特徴だ。
前回実績を土台に規模を倍増
Green Carbonは2026年2月、東京国際フォーラムで第1回「Carbon Credits Journal Forum」を単独開催しており、オフライン参加1300人以上、事業会社100社以上、登壇約28社・省庁関係者が集まる国内最大規模のイベントとなった実績がある。参加者の87%以上が「満足」と回答したという。今回はCarbon EXとの共催体制に移行し、会場を東京ビッグサイトに拡大、想定来場者数も約1.5倍の2000人以上に引き上げた。市場設計、制度設計、ルールメイク、アジア市場との接続といった、より政策色の強いテーマを扱う予定で、実務者向けの情報提供にとどまらず、政策議論の発信拠点としての性格を強めている。
チケットは無料の「スタンダードパス」に加え、登壇者らと交流できる「エクストラパス」(2万円)、企業間マッチング支援付きの「VIPパス」(10万円)など5種類を用意し、法人向けカスタムプランも設ける。単なる集客イベントではなく、商談・提携創出の場としての機能も持たせている点は、広告収益に依存しない業界フォーラムのマネタイズモデルとしても注目される。
両社の強み 創出と流通を両輪に
主催2社の事業内容には補完関係がある。Green Carbonは2019年設立のクライメートテック企業で、水田の中干し・AWD、バイオ炭、森林保全、マングローブ植林、畜産由来メタン削減など自然由来プロジェクトを日本と東南アジア10カ国以上で展開する、クレジットの「創出」を担うプレイヤーだ。国内の水田由来クレジットは2023年度に日本初・最大規模の約6220トンを創出し、2026年度には約9万ヘクタール・約9万5000トンへの拡大を計画しているという。フィリピンではJCM(二国間クレジット制度)を活用した投資プロジェクトが完売するなど、東南アジアでの事業実績もある。
一方のCarbon EXは、資本金4億円(資本準備金含む)、アスエネが51%、SBIホールディングスが49%を出資する取引プラットフォームで、J-クレジットや海外の再エネ証書など幅広いクレジットの売買を仲介する「流通」の担い手だ。KYC審査など品質担保の仕組みを備え、サステナビリティAIプラットフォーム「ASUENE」との連携も進める。創出側と流通側の主要プレイヤーが手を組んだ今回の共催は、市場のバリューチェーン全体を巻き込んで議論の場を設けようとする狙いの表れといえる。
品質・信頼性が今後の焦点に
もっとも、カーボンクレジット市場の拡大には課題も残る。クレジットの品質担保や二重計上防止、国際的な制度間の整合性といった論点は、国内外で繰り返し指摘されてきたテーマだ。GX-ETSの義務化が進むほど、企業側には「安価に調達できるか」だけでなく「信頼できるクレジットか」を見極める目が求められる。今回のフォーラムがこうした実務課題にどこまで踏み込んだ議論を提示できるかが、単なる業界交流イベントを超えて「アジアのルールメイクの発信拠点」を名乗れるかどうかの試金石になりそうだ。
特設サイト
https://green-carbon.co.jp/carbon-credits-journal-forum-2026/





