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三菱自・新型「アウトランダー」、全方位的に進化…あらゆる路面で軽快な走り味

文=木下隆之/レーシングドライバー
三菱自・新型「アウトランダー」、全方位的に進化…あらゆる路面で軽快な走り味の画像1
三菱自動車工業・新型「アウトランダー」

 三菱自動車工業が、世界初となるスポーツ用多目的車(SUV)のプラグインハイブリッド(PHEV)である「アウトランダー」を発売したのは2012年。そこから遡ること3年、09年には世界初となる量産型電気自動車(EV)の「i-MiEV」を発売。

 そんな”電気自動車のパイオニア”という地位を手にした三菱自が今年、三代目アウトランダーを発表した。

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 新型アウトランダーの特徴は、全方位的な進化である。プラットフォームやシャシーはもちろんのこと、エンジンを含めたパワーユニット、4輪駆動力制御技術、そしてボディに至るまで、すべてを刷新したというから、三菱自がアウトランダーに込める鼻息は荒い。先代のアウトランダーはライバルの手本とされるほど独占的な地位を得てきたというのに、成功に甘んじることなく攻めの姿勢であることが潔い。

 まず驚かされるのは、全長を15mm延長し4710mm、ホイールベースに至っては35mmもストレッチして2705mmとすることで、3列シート7人乗りを実現したことだ。コクピットに収まってみると、広々空間が得られていることを実感する。幅が広く、肩まわりに余裕がある。シートの前後スライドは伸ばされ、その広さが3列目にまで及ぶのだ。リアシートにも余裕がある。

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 さすがに3列目シートの足元は狭く、エマージェンシー用としての活用をお勧めしたいが、ともあれ駆動用バッテリーやリアモーターなど、PHEVには3列目に侵食するパーツが多いにもかかわらず、それを小型化することに成功。3列シートを実現したことは褒められる。

 パワーユニットは大幅に強力になった。フロントの駆動用モーターは60kWから85kWに増強、リア駆動用モーターは70kWから100kWにまで高められた。駆動用バッテリーは13.8kWhから20kWhという大容量だ。家庭のコンセントから満充電すれば、日常の行動エリアを超えた距離まで、EV走行が可能だ。ガソリンタンク容量も45Lから56Lにまで増やされているから、エンジンと併用しながらのロングドライブもたやすい。

 そしてその先にはワインディングやキャンプ場が想定されるが、そこでも新型アウトランダーは高い走りの性能を披露する。伝家の宝刀、4輪駆動力制御が進化。これまで前後と前輪の左右に限られていた駆動配分が、後輪の左右にも配分されるようになった。

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 実際にドライブすると、それはあらゆる路面で威力を発揮することが明らかになる。モーターパワーの増強で、低回転域から力強い加速が得られるばかりか、そのパワーフィールはFF的に前輪だけで推進するタイプではなく、FR風に後輪が押し出す感覚がある。従ってハンドリングが軽快であり、場面さえ許せば、テールスライド気味の挙動を誘い出すこともたやすい。頑固なアンダーステアに陥ることはなく、軽やかなリズムでコーナーを舞うのである。

 PHEVは自宅で充電することで、たとえば駅までの送迎や通勤通学といった生活圏をEV走行で過ごすことに魅力がある。一方でSUVは、たとえば休日の家族旅行やバカンスへと足を伸ばしたくなる。そういった、ともすれば相反し背を向けるような要素を見事に整えているように思う。

 生活圏からロングドライブ、そして目的地での軽快な走り味と高い悪路走破性。PHEV搭載SUVのパイオニア三菱自は、また新たなステージに駒を進めたのだといえる。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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