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スバル「レガシィ・アウトバック」、アウトドア仕様なのに驚異的な乗り心地を実現

文=木下隆之/レーシングドライバー
スバル「レガシィ・アウトバック」、アウトドア仕様なのに高級セダン並み乗り心地
スバル「レガシィ・アウトバック」

 スバルが誇る伝統的ステーションワゴン「レガシィ」に、アウトバックが加わった。その名称から想像できるように、キャンプやウインタースポーツなどを積極的に楽しむユーザーを想定。よりアクティブな仕様としたのが特徴だ。

 先代と比較して、ボディは前後左右に大きくなった。ホイールベースの延長はないから室内空間に劇的な変化はない。だが、大幅に車格感が増した。スバルのフラッグシップステーションワゴンらしい、誇り高いスタイルとなったのだ。

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 アウトバック化の定石通り、前後のフェンダーには樹脂製のアーチカバーが装着される。前後のバンパーにも、岩や切り株との接触からボディを守る樹脂製のガードがある。213mmという最低地上高との相乗効果で、道なき道を突き進みやすい。

 新型の特徴は、エンジンが変更されたことだ。これまでの水平対向4気筒2.5リッターNAから、水平対向4気筒1.8リッターターボにスイッチ。排気量を下げた。いわば燃費を稼ぐためのダウンサイジング。それによって不足するパワーをターボチャージャーで補った。環境性能を高めながら動力性能をキープすることに成功。というより、むしろ現状維持ではなく300Nに達したトルクは力強い。加速性能は大幅に優れている。

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 何よりも感心するのは、悪路走破性を考慮した、いわばアウトドア仕様なのにもかかわらず、驚くほど乗り心地が優しいことだ。路面からの突き上げを優しくいなし、ノイズやバイブレーションが抑えられているのは当然のこと、高級セダンであるかのような重厚な走り味なのである。バックミラーで広さを目にしてあらためて、レガシィ・アウトバックがセダンではなくステーションワゴンであることを確認したほどである。

 その乗り味は、雪道に足を踏み込んでも違いはない。というよりも、路面の荒れたスノーロードだからこそ、乗り心地の良さが引き立つ。

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 ゲレンデまでの幹線道路には深い轍ができていた。氷結と融解を繰り返した路面は、横切るように洗濯板のようなバンプを作っていた。通常、そんな悪路では脳天を突き刺すような上下動を覚悟しなければならないのに、目にしたバンプは幻だったのかと錯覚するほど路面からの入力をいなす。

 エンジン特性は、いかにも小排気量のトルク不足をターボで補うダウンサイジングエンジンらしく、低回転域のレスポンスと絶対トルクに乏しい。それを過給圧を高めて対応させようとするから、結果的にドカンと破裂したかのような唐突なフィーリングになる。スバルを愛する“スバリスト”には、とかくその特性を好むマニアも少なくないが、そうは言っても上質をウリにするレガシィである。躍動的なパワーフィールなのである。

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 あらためて認識したのは、アウトバックはレガシィであり、レガシィはステーションワゴンであることだ。スバルにはアウトドア系のモデルが少なくない。XV、インプレッサ・スポーツ、フォレスター、レヴォーグ……。そのどれもが水平対向エンジンを搭載し、長旅を可能にする広い荷室がある。スキーやバイク、あるいはキャンプ道具などを収納するスペースには余裕がある。だが、それらはどこか車高の高いSUV系であり、セダンの延長線上にあるステーションワゴンとは根底のところで異なる。

 ステーションワゴンは低い車高であることの低重心に利点がある。走りの質感を高めやすいのだ。だから、これほどまでに乗り心地がいいのだ。前後に長く伸びやかなフォルムをあらためて見直して納得した。

(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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