「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。
国税庁の2012年度の調査によると、年収100~150万円の弁護士は585人、150~200万円が594人、200~250万円が651人、250~300万円が708人、300~400万円が1619人と、一般サラリーマンの平均年収413万円(14年度)を下回る水準の弁護士も非常に多い。また、所得が1000万円以上の弁護士は5年前から15%減少。逆に200~600万円の人が20%ほど増加しているのだ。
難関試験を突破するために多くの時間とお金を費やしたにもかかわらず、低収入にあえぐ弁護士は多いのが現状だ。その一方で、弁護士として活動するためには、所属する地方の弁護士会へ毎月会費を支払わなければならない。金額は地域によって異なるが、年額で50~100万円に上るといわれている。
そのような中、収入を安定させるために弁護士たちはさまざまな仕事に手を出している。中には、弁護士としてふさわしくないと思われる仕事ぶりの人物もいる。今回は、そのような質の低い弁護士たちを紹介する。
A弁護士の事例
「儲ける」「成功する」といったテーマにまつわる方法論や手法を動画やテキストにまとめ、主にインターネット経由で販売されているものは「情報商材」と呼ばれ、1件当たり数万円、高いものになると数十万円で取引されている。
それら販売元の中には、真摯にビジネスを行っているところもある一方で、「1日たった30分○○するだけで月収100万円」「投資必勝法」「必ずモテる」など、射幸的なフレーズを打ち出して高額な教材を買わせるものの、実際には「価格に見合う価値がない」「何もサポートがない」「効果がない場合の返金保証をうたいながら、返金に応じない」といったトラブルも多数報告されており、国民生活センターなどに相談も寄せられている。
このような「情報商材詐欺」の被害に対して、トラブル解決と返金実績をうたうのがA弁護士である。このテーマを専門に取り組んでいる弁護士は珍しいようで、インターネットで検索しても表示される法律事務所は数えるほどだ。
いかにも弱者の味方に見えるこのA弁護士だが、実際はとんでもないブラックな実態を秘めていたのだ。