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損失430億、“丸紅ショック”の元凶 上場企業各社にも巨額損失与えた「あるもの」

文=編集部
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損失430億、“丸紅ショック”の元凶 上場企業各社にも巨額損失与えた「あるもの」の画像1丸紅本社(「Wikipedia」より/Wasao babe)

 ここのところ、国際財務報告基準(IFRS)を任意採用する企業が増えてきた。

 会計基準は国内に日本基準、米国会計基準、IFRSの3つがある。上場企業のほとんどが日本基準を採用しているが、政府が成長戦略にIFRSの適用拡大を目指すことを盛り込んだため、IFRSの採用が広がっている。

 IFRSは英ロンドンの国際会計基準審議会が作成した会計基準だ。2005年1月、欧州連合(EU)域内でIFRSの強制適用が開始された。EU加盟各国が独自の会計ルールを作っていては、アメリカに対抗できないと考えたからだ。これが、IFRSが世界的に広がる契機となった。

 アメリカでは、もともと米国会計基準が定められていたが、世界100カ国超という予想以上のペースでIFRSの採用が広がったことを受けて、08年にIFRS受け入れに舵を切った。それにより、会計基準を世界的に統一する流れが一気に加速した。

 日本では、09年に金融庁の企業会計審議会がIFRSの強制適用を視野に入れたロードマップを公表した。これを受けて、IFRSを任意採用する企業が増え続けている。

上場企業200社がIFRSを採用か

 日本では、10年3月期決算から企業がIFRSを任意で採用できるようになった。15年5月19日時点で、85社が導入済み、または採用を予定している。

 キリンホールディングス、横浜ゴムなどが新たに準備を進めており、検討中も含めると110社を超える。電機業界では、日本電気(NEC)やパナソニックが15年3月期の決算発表時に、導入する方針を相次いで明らかにした。食品や医薬品、商社などでは、時価総額上位の企業が導入している。

 社数ベースでは、上場企業全体の5%以下だが、時価総額や純利益で見ると、全体の2割以上を占める。同じ業種の企業を比較する上で、IFRSが有効な物差しとなってきた。

 金融庁は、IFRSに関する調査報告書をまとめている。それによると、今年2月末時点で60社から回答を得ており、IFRSを採用した企業の9割が導入によるメリットを享受していた。具体的には「経営管理の効率化」が最も多く、ほかには「海外の投資家への説明が容易になった」が目立つ。

 IFRS導入に伴う新たな会計システム構築の費用は、回答があった48社のうち7割に当たる32社で1億円以上かかっていた。IFRS導入には、コストの負担が大きいことが明らかになったといえる。

 総合商社では、住友商事が採用したのを皮切りに、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅と相次いだ。ソフトバンク、楽天、ファーストリテイリングもIFRSを採用している。

 アメリカの株式市場に上場している自動車、電機、銀行、証券の各社は米国会計基準を採用しているが、今後、商社のようにIFRSに切り替える企業が増えるのは確実だろう。将来的には、200社に近づくと予測されている。

 今、上場企業は成長を第一に掲げてグローバル化を目指す企業と、そのほかの企業に分かれようとしている。前者が、IFRSのメリットを貪欲に求めることになる。

BusinessJournal編集部

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