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自民党の国土交通部会航空問題プロジェクトチーム(PT)は7月13日、JALの再上場に反対する決議を採択した。決議では政府に対しJALとANAが公平な競争ができるようなガイドラインを設けることや、JALに対して地方路線を維持するよう強く求めた。
だが、海外に出ればJAL支店の幹部を秘書のように使い、選挙区にある地方空港にJALの乗り入れを強制して不採算路線のヤマを築き、JALを破綻させた元凶のひとつが自民党の政治家だったことを忘れたかのような、昨今の自民党航空族の議論には、鼻白むものがある。
一方、JALの破綻前に経営上の問題点を指摘した資料を自民党議員にばらまいたのが、ANAだったといわれている。打倒民主党の自民党と、反JALのANAの利害が一致して手を組んだのだ。
航空問題PTではANAびいきの発言が相次いだ。7月6日に自民党本部で開かれた会合では、「JALの筆頭株主をANAにする、あるいは、今の発着枠をANAに優先的に傾斜配分する(ことを考えたらよい)」といった極端な意見が出た。
プロジェクトチームのヒアリングに国交省の幹部を呼んだ折、自民党議員が「自民党が政権に返り咲いたら国交省航空局の幹部は左遷するぞ」と凄んだと漏れ伝わる。
霞が関官僚の変わり身は早かった。羽田発着枠の配分について国交省はJALへの配分を大幅に減らし、ANAへの配分を厚くした。これは、「自民党に対する『言うことを聞いている』とのメッセージである」(高級官僚OB)。12月16日の衆院総選挙後、民主党から自民党に政権交代することを織り込んだ動きだ。
民主党→自民党の権力構造の変化が株式市場では、JALとANAの時価総額の急接近となって現れた。政界代理戦争が株価に反映したのである。民主党は政権の座を失いかけ、稲盛和夫・名誉会長はJALの経営の第一線から来年にも退く。
後ろ盾を失うJALは、自立へ向けて茨の道を歩むことになる。
(文=編集部)
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