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旧村上ファンド、日本郵船と川崎汽船の経営統合を仕掛けるとの観測

文=編集部

狙いは海運再編か

 エフィッシモが社外取締役を送り込む狙いは何か。かつて村上ファンドを率いていた村上世彰氏は、ファミリーが運営するレノと南青山不動産を通じて日本郵船株の5.92%を保有している。

「村上氏はエフィッシモと組んで、日本郵船と川崎汽船の経営統合を仕掛けるのでは」との観測が強まっている。合併・統合など経営上の重要事項については、社外取締役が大きな発言力を有する点から、こうした深読みが成り立つわけだ。

 海運大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)のなかで、川崎汽船の業績悪化が際立つ。

 川崎汽船の19年3月期の連結決算は、売上高が前期比28.0%減の8367億円、営業利益は247億円の赤字(18年同期は72億円の黒字)、最終損益は1111億円の赤字(同103億円の黒字)だった。

 日本郵船は不採算のコンテナ船の損失引当金を計上したため、最終損益は445億円の赤字となった。商船三井の最終利益は268億円で黒字に転換した。商船三井の18年同期は不採算用船の損失などを計上したことで473億円の赤字だった。

 川崎汽船は高値で船主と用船契約をしたコンテナ船が「逆ザヤ」となっている。そのため違約金を払って契約期間満了前に解約することを決めた。期限前返船に伴う解約損として19年3月期に500億円を計上した。

 コンテナ船の運航事業は17年7月、日本郵船、商船三井と共同出資で設立したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、シンガポール)に移管した。

 日本郵船、商船三井は早めに高コスト船の整理に動いたが、財務基盤が弱い川崎汽船はONEに貸す船の「逆ザヤ」に苦しんできた。

 ONEは、米中航路などのシェアを高めることによって大口荷主との契約条件を改善できるというシナリオを練っていた。しかし、システムの不具合など業務の混乱により出足からつまずいた。ONEの事業初年度の19年3月期の最終損益は約660億円の赤字となり、各社の持ち分法損失は200億円規模に達した。

 川崎汽船は最終赤字が1111億円に膨張したことから、財務内容が悪化。19年3月期には自己資本比率が10.9%に低下した。もう1度、大きな損失が出れば経営は危機的な状況になる恐れがある。

 自己資本増強の一環として4月5日、みずほ銀行や日本政策投資銀行、三井住友信託銀行から劣後ローン450億円を借り入れた。劣後ローンは450億円の半分が自己資本として認められることから、自己資本の穴埋めができた。

 川崎汽船の20年3月期の売上高は前期比9.2%減の7600億円と減収となるが、営業損益段階で60億円の黒字、最終利益は110億円と黒字転換するとしている。電力炭・LNGなど中長期契約の積み上げによる収益の改善を見込むが、米中貿易戦争が激化しており、会社側の想定通りの数字が計上できるのかどうかは不透明だ。
(文=編集部)

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