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TATERU、市場で「倒産」観測広まる…国が業務停止命令へ

文=編集部
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「TATERU HP」より
「TATERU HP」より

 アパート施工・管理のTATERU(タテル)の2019年1~3月期の連結決算は最悪だった。売上高は前年同期比68%減の46億円、営業損益は47億円の赤字(18年同期は6億7300万円の黒字)、最終損益は60億円の赤字(同4億3300万円の黒字)となった。

 18年8月末に社員が融資関連の資料を改竄していたことが発覚。同年12月、同社が公表した調査報告書によると、従業員31人が顧客のネットバンキングの残高を改竄、年収を水増しして銀行から融資を引き出していた。不正の件数は350件に上り、顧客に知らせずに数字を水増しした事例も多数あった。

 不正の発覚で、顧客の発注取り消しが増加。ブランドイメージの悪化に伴い、アパートの受注が低迷した。不動産投資に特化して小口投資家を募るクラウドファンティング事業も再開のメドが立たなくなった。

 主力のアパートメント事業の売上高は前年同期比69%減の44億円に激減。営業損益段階で36億円の赤字(前年同期は10億円の黒字)に転落した。

 18年9月末で販売用不動産(不動産の在庫)が198億円と、3カ月前の3.3倍に膨れ上がった。受注が減った上に、キャンセルになった土地を買い取らざるを得なくなったからだ。

 損失覚悟で販売用不動産の売却を進め、19年3月末の販売不動産は114億円に圧縮した。販売用不動産の売却損が32億円発生した。

 新規の営業活動再開のメドは立っていない。19年12月期(通期)の連結業績予想は「損益の合理的な予測が困難」として非開示とした。19年12月期の配当は無配(18年12月期は年間配当5円)で、株主優待制度の廃止も決めた。

 19年1~3月期の営業利益、経常利益、当期利益が赤字のため、決算短信に「継続企業の前提に関する重要事象等」を記載した。

資産売却を急ピッチに進める

 TATERUは、保有する資産の売却を進める。3月には不動産投資コンサルティング会社のインベストオンライン(東京・新宿)の持ち株すべてを東証マザーズ上場の金融・コンサルティング企業のジャパンインベストメントアドバイザーに売却すると発表した。17年11月にTATERUが子会社化し、現在は発行済み株式の80%を保有している。

 インベストオンラインは不動産情報サイトの「新築一棟投資法」や「賃貸併用住宅のススメ」などを運営。18年3月期の売上高は前期比32%増の17億円、営業利益は2倍の4億円をあげていた。

 18年9月、中古マンションの売買サイトを通して物件を売買するGA technologiesの、保有していた全株式を売却。18年1~9月期決算に特別利益23億円を計上した。

 4月9日、東京都(58棟)のほか、愛知県(28棟)、大阪府(26棟)、福岡県(10棟)にある122棟、総戸数1092戸、土地面積2万2260平方メートルに上る販売用不動産を一括売却すると発表した。8月までに3回に分けて物件を引き渡す。

 買主や売却額は非公開だが、売却額は「連結売上高の10%に相当する額以上」としており、80億円以上になるとみられている。19年12月期に30億円の売却損を計上する。

BusinessJournal編集部

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