経営刷新委員会
不正会計問題を受けて東芝が設置した経営刷新委員会には、社外取締役4人全員が加わった。残りは外部の弁護士や公認会計士の2人で合計6人。社内出身者は参加していないが、「不正会計を見逃した社外取締役4人に刷新を期待するのには無理がある」(市場筋)。
社外取締役の役割は2つある。第1は経営の執行に当たる役員の指名、その報酬の決定、決算監査などの監督。第2は取締役会で行われる重要な意思決定が適切になされているかを監視し、必要に応じてアドバイスすることだ。伊丹敬之(東京理科大教授)、島内憲(元外交官)、谷野作太郎(同)、斎藤聖美(ジェイ・ボンド東短証券社長)の4人が社外取締役だ。伊丹氏が委員長になり、他の3人が委員になった。同委員会には橋本正己(橋本公認会計士事務所)、北田幹直(森・濱田松本法律事務所)の2人が加わり6人で構成される。オブザーバーは小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長、経済同友会代表幹事)と古田佑紀弁護士(元最高裁判事)の2人。
伊丹氏が9月以降、経営監視の要となる取締役会議長に起用されるという報道もある。刷新委員会のオブザーバーになった小林氏、古田氏が社外取締役に就任するという話も出ている。東芝の不正会計を見逃してきた4人の社外取締役は9月で全員交代といわれてきたが、風向きが変わりつつある。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、東芝の格付けを引き下げる方向で見直しに入った。今回の決算修正で2000億円に上る自己資本が目減りすると、1株当たり純資産は240円になる。東芝の7月30日の株価終値は369.4円。安値は364.3円で年初来安値である361.2円(7月16日)に接近した。それでも株価は1株当たり純資産を5割以上も上回っている。
東芝は過去のしがらみを引きずったままの経営体制で、果たして再生を進めることができるのか。早くも悲観的な見方が広まっている。
(文=編集部)