家電量販店首位のヤマダ電機の15年3月期売上高は、前期比12.1%減の1兆6643億円、経常利益は29.2%減の355億円と大きく沈んだ。ヨドバシの売上高は5.7%減の6515億円、経常利益は3.8%減の511億円(非上場のため、6月24日付「日経MJ」による)。
ヨドバシが消費増税の反動減を最小限に食い止めることができたのは、インターネット通販サイト「ヨドバシ.com」が寄与したからである。アマゾンをはじめとするネット通販は家電量販店にとって大きな脅威だ。家電量販店大手各社は、自社のネット通販を強化してきた。
ヨドバシのネット通販事業は、創業者である藤沢昭和社長の長男、藤沢和則副社長が統括している。家電はもちろんゴルフクラブなどのスポーツ用品、有機栽培野菜やコメなど食料品まで幅広く手掛けている。ヨドバシの15年3月期のネット通販の売り上げは前年比5割程度の伸びとなり、今期は1000億円の大台乗せを目指すとしている。
ヨドバシはアマゾンに対抗して物流センターの整備を急ぐ。川崎市の自社倉庫を増築し、2年後に延べ床面積25万平方メートルの巨大な物流拠点をつくり上げる。アマゾンが日本に持つ最大の物流拠点、小田原フィルメントセンターの床面積(20万平方メートル)を上回る。
アマゾンは中部地区では12年に岐阜県多治見市に物流センターを建設した。ヨドバシは三重県桑名市に巨大な物流センターを15年11月に完成させる予定だったが、土地の売買契約を締結した後の調査で「地盤不良」が発覚し、桑名市の土地区画整理組合を相手に巨額訴訟を起こしている。ヨドバシにとって名古屋市への初出店と物流拠点の整備はワンセットであったが、結果として松坂屋名古屋店への出店が先行するかたちになった。
ヨドバシの松坂屋名古屋店での取扱品目は368万点と、家電量販店としてはトップクラス。ヨドバシの松坂屋名古屋店出店は、中部地区におけるネット通販事業拡大にむけた試金石となるはずだったが、現時点では仕切り直しといったところだ。
(文=編集部)