名古屋地区の百貨店トップが交代した。ジェイアール名古屋タカシマヤの売上高が松坂屋名古屋店を追い抜いたのだ。2015年2月期の売上高は名古屋タカシマヤが前期比4.7%増の1260億円。対する松坂屋は1.1%増の1256億円。その差4億円で逆転した。名古屋タカシマヤは00年3月の開業以来初めてライバルの松坂屋名古屋店を上回り、地域一番店となった。
松坂屋名古屋店はJフロントのなかで最も大きい旗艦店であり、松坂屋の本拠地として象徴的な存在。栄地区は名古屋の商業の中心地であり、松坂屋はここの盟主として君臨してきた。
ところが、JR名古屋駅直結の名古屋タカシマヤが誕生してから、人の流れが栄地区から名古屋駅に変わった。消費の中心が栄地区から名古屋駅地区に移ったことの象徴的な出来事が、地域一番店の交代だった。Jフロントが受けた衝撃は大きかった。
ヨドバシ、JR東海を提訴
ヨドバシはなぜ栄地区に出店するのか。当初は、JR東海が名古屋駅北側に建設中の超高層ビルJRゲートタワーの9~11階に出店する予定だった。ゲートタワーは27年に東京(品川)-名古屋間でリニア中央新幹線が開業する計画を見据えた名古屋駅前再開発の一環である。
JR東海は当初16年春としていた新ビル商業フロアの開業時期を、基礎工事の遅れから17年4月に延期したため、JR東海とヨドバシの間にトラブルが生じた。ヨドバシは工事の遅れから契約解除を申し入れ、今年2月に違約金の支払いを求めて名古屋地裁に提訴。ヨドバシは5月、JRゲートタワーへの出店を取り止め、代わって業界2位のビックカメラが出店することになった。
これまで駅前立地にこだわってきたヨドバシは、栄地区の松坂屋名古屋店への出店に切り換えた。これは駅前立地の巨艦店という出店戦略とは明らかに違う。消費の中心が栄地区から名古屋駅に移っているなか、ヨドバシはあえて栄地区に店を構えることにした。
ヨドバシの本気
家電エコポイントの終了やデジタル放送移行の特需があった10年度、国内家電市場はピークを迎えた。その後、市場は急激に縮小したものの、12年度に下げ止まり13年度は14年4月に実施された消費増税前の駆け込み需要によって売り上げを伸ばした。しかし、増税の反動減に見舞われ売り上げは落ち込んだ。