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スズキの悲劇、“不正の元凶”89歳・鈴木修会長を切れず…トヨタG入りも破談の危機

文=編集部
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スズキの鈴木修会長(写真:つのだよしお/アフロ)

 

 スズキは2020年、創立100周年を迎える。記念行事の予定はないが、社内外から「鈴木修会長の引退こそが最大のセレモニー」との声が出ている。

 鈴木会長の長期政権は綻びが随所に出始めた。5月10日の決算発表で、記者の質問と噛み合わないやりとりもみられ、その情報は自動車担当記者の間に一気に広まった。米中貿易摩擦についての見解を聞かれ、鈴木会長は最初「アメリカと中国が喧嘩をすれば世界は不幸になる」と一般論を述べていたが、その後、「10連休の間、4日間は仕事をしていた」など、質問とはまったく関係ない話を脈略なく続けたからだ。

 鈴木会長は20年1月には90歳を迎える。本来であれば、長男の鈴木俊宏社長が引退を勧告すべきなのだが、絶対的権力者である父親に対して、何も言えないのだ。スズキの完成検査不正などの企業風土は、創業家支配のなかで醸成されたものだから、容易に改善できるものではない。16年に燃費測定への不正が発覚した。「(現時点では燃費不正の問題は)ない」。鈴木会長は16年5月10日の決算会見で燃費不正の存在を否定したが、わずか1週間後に一転して謝罪会見に追い込まれた。

「社風が影を落としている」(自動車担当アナリスト)と指摘される。スズキの経営の真骨頂はコストを徹底的に削る「ケチケチ作戦」。これが不正の温床となったといわれている。不正の実態が経営陣に上がってこない風通しの悪さが最大の問題点なのだ。燃費不正が発覚した際、鈴木会長がCEO職を俊宏社長に譲ったが、その後にCEOそのものを廃止した。鈴木会長が今でも最高経営責任者なのである。

 今年の株主総会では、株主からは検査不正問題に関する質問が相次いだ。「3年前にも大きな不祥事があった。なぜ、また、さらに大きな不祥事が起きたのか」「不正が起きる体質は変えられないのではないか」と厳しい指摘が続いた。鈴木会長は「担当者が適法で大丈夫だというのを鵜呑みにして、間違いをしでかした」と発言。責任を部下に押し付けるもので、出席者は不正を繰り返してきた企業文化と決別できるのかと疑った。

 完成検査不正により201万台もの大規模リコール(回収・無償修理)を実施し、813億円の特別損失を計上したにもかかわらず、鈴木会長は1年間の役員報酬の返上で、お茶を濁した。6月27日の株主総会で鈴木会長の取締役選任への賛成比率は66%。前年の93%から27ポイントも大幅に下落した。俊宏社長の賛成比率も70%と前年の94%から急落。創業家に対する株主の目は厳しさを増している。

BusinessJournal編集部

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