衣服生産プラットフォームを提供するシタテルは、ストリーミングサービスのSHOWROOMと連携し、人気配信者16名によるオリジナルTシャツを共同企画・制作・販売した。
SHOWROOMの配信中にライブコマースで販売したが、一番人気は、意外なことにVチューバーの「レオン」くんだった。なお、16名のオリジナルTシャツは、オンラインとPARCO店頭の合計で約1500枚販売した。
シタテル執行役員でセールス&マーケティング担当の鍛冶村忠氏は、「インフルエンサーとファンが一緒になって服などを企画し、コミュニティーで共有・消費していく時代が来るのではないか」と語る。SHOWROOMとは今後も、配信者にフォーカスしてEC(電子商取引)を強化し、有名な動画配信グループとのコラボや今回同様の企画で「秋・冬バージョン」も予定しているという。
インフルエンサーとファンが協同でTシャツ制作
――今回の企画の概要と狙いをお聞かせください。
鍛冶村忠氏(以下、鍛冶村) SHOWROOMは、無料で誰でもライブ配信や視聴ができる場です。まず、ライブ配信で配信者が自由にデザインし、A案やB案を提示、その後に視聴者が投票を行います。そこで決まったデザインをシタテルで商品化します。そして今度はライブ配信で販売する、という仕組みです。人気が出たTシャツは、リアル店舗であるPARCOなどでも販売しました。この一連の企画をシタテルで設計しました。
――SHOWROOMからは、どのような相談があったのでしょうか。
鍛冶村 基本的に、配信者は服よりも歌や生活について生放送を行うことが多いです。そこでSHOWROOMからは、ファッション文化のマネタイズについて、特にシタテルの仕組みを使って新しいマネタイズを生み出したいとの相談がありました。
――人気がある配信者は、どの程度の影響力があるのでしょうか。
鍛冶村 「トップランカー」と呼ばれる配信者の番組は、1回の生配信で1000人以上の視聴者が観ています。ちなみに、今回はバーチャルアイドルと生身の人間に配信者が分かれましたが、Vチューバーのほうが販売力が高かったです。男性はVチューバー「レオン」くん、女性は女優でタレントの嶋梨夏さんに人気が集まりました。
興味深いのは、「人間対バーチャル」という対立構造があることで、双方がヒートアップし、視聴者の応援合戦にも熱がこもったことです。その熱量の大きさで、Vチューバーに軍配が上がりました。特に人気があったレオンTシャツはPARCOで販売しましたが、たった1時間で100枚も売れました。
ショップにそろえた段階ですぐ売り切れて、あとから来たレオンくんのファンが残念がってツイートをしたこともあり、SNSでずいぶん拡散されました。ファンコミュニティーの持つ力は、販売面でも有効だと感じましたし、驚かされました。SHOWROOMからは、レオンくんの人気について、想定した通りだったという反応がありました。他には、嶋梨夏さんはルーム上のコミュニケーションが強く、ファンとのつながりが深いため、Tシャツの売れ行きも順調でしたね。