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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

会社も社員も不幸にする「正社員採用」というギャンブル 甚大な労力をかけても無駄?

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー
会社も社員も不幸にする「正社員採用」というギャンブル 甚大な労力をかけても無駄?の画像1株式会社リツアンSTC代表取締役・リツアン働き方研究所所長 野中久彰氏

「社員にアップルウォッチをプレゼントする」と宣言して話題になった派遣会社リツアンSTC代表取締役でリツアン働き方研究所所長の野中久彰氏に、若者の離職率が高いという日本社会の現状について意見を聞いた。

「日本企業は『恋愛』をしたほうがいい」と、野中氏は従来の社員採用の手法をお見合いに、派遣による採用手法を恋愛にたとえてわかりやすく解説してくれた。

「お見合いを否定するわけではありませんが便宜的に使わせていただくと、従来の面接や適性検査だけで採否を決める『お見合い』式の採用方法では、どうしても雇用のミスマッチを生んでしまいます。それが若者の不幸を生んでいる原因だと思います。

 企業は、面接だけでは応募者の人柄や能力を正確に見極めることができません。また、応募者も外から企業の内情を知ることはできないのです。就職は結婚と並び人生の大きな分岐点です。また、企業にとっても新卒採用は1人当り生涯年収3億円といわれる大型投資になります。そのような重要な契約が、非常に少ない情報をベースにしか下せないのが『お見合い』式の採用手法の欠点です。

 相互理解が深まっていない中での雇用ですから、当然入社後にトラブルに発展することがあります。入社前に思い描いていた理想像と、入社後の現実にギャップが広がれば離職率は高くなってしまいます。派遣期間に企業と応募者の双方が相手を確認するという『恋愛』式の採用方法が、これからの時代には合っていると思います」(野中氏)

 マスコミ報道の影響もあり、社会的には派遣に対するイメージに偏りがある。野中氏が語るように、派遣会社が企業との仲人の役割を担うことになれば、日本人の働き方にも大きな変化が現れてくるだろう。

派遣社員から正社員へのステップアップを検討すべき

 とはいえ、現実の職場では正社員と派遣社員の意識の違いはないのだろうか。野中氏にそれを問うと、「会社内では正社員と派遣の区別もほとんどなく溶け込んでいます」という答えが返ってきた。

 野中氏の話を裏付けるデータがある。厚生労働省が平成22年に発表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」の「現在の職場での満足度」の項目を見てみると、正社員と正社員以外の社員の意識に差がないことがわかる。

会社も社員も不幸にする「正社員採用」というギャンブル 甚大な労力をかけても無駄?の画像2厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」より

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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