●地方スーパーも続々経営統合 各地で陣取り合戦
また、地方の有力食品スーパーも再編に動いている。北海道大手の食品スーパー、アークス(札幌市)が青森県の地場トップのユニバース(青森県八戸市)を経営統合、今年9月には岩手県で売上高トップのジョイス(盛岡市)がアークスの完全子会社になった。これでアークスは業界2位に浮上し、最大手のライフコーポレーションを追う。アークスは三菱食品との結びつきが強く、「同じ三菱系のライフとの統合は、時間の問題」との観測さえ出始めている。
これまで述べてきた各社は、いずれもスーパー各社が共同出資して設立した共同仕入れ機構、シジシージャパン(東京・新宿)の加盟企業だという点で一致している。シジシーはCGCブランドのプライベート(PB)商品を加盟店に供給している。加盟企業は229社、3773店、売上高の合計は4兆3193億円。まさに、スーパー業界の“第三極”なのである。
アークスを核としたユニバース、ジョイスの合体はCGC加盟企業同士の再編を先取りしたものと受け止められている。生き残りを賭けたCGCグループ内の合従連衡が、今後の再編のお手本になる。
こうした動きに呼応して食品卸の旭食品(高知市)、カナカン(金沢市)、丸大堀内(青森市)の3社が、来年2月に共同持ち株会社を設立することで合意した。新会社は食品卸業界5位に浮上する。食品卸の3社はCGCを通じて加盟企業に商品を供給してきた。CGCグループ内の食品卸の再編と見ることができる。
「セブン&アイ、イオン、ウォルマートなどの大手が狙うのは中堅以上の食品スーパー。店舗数が50店舗以上あり、県内で1~2位のトップクラスに限られる。だから、ほとんどの食品スーパーはM&Aの対象にならない」(外資系証券会社の流通担当アナリスト)
大手の傘の下に入れない食品スーパーはどうするのか。地域内で合従連衡するか自力で活路を見出すしかない。
来年3月、中小企業金融円滑化法が期限切れを迎える。食品スーパーの再編と淘汰が一気に押し寄せる。
(文=編集部)