(「ウィキペディア」より)
食品スーパーの倒産がじわじわ増えてきた。東京商工リサーチの調べだと11月のスーパーの倒産件数は9件で今年最多だった。いずれも地方で5~6店舗を展開する小規模な食品スーパーで、全盛期から大幅に売り上げを落としている。
2013年は食品スーパーの倒産が続出する。中小企業金融円滑化法の期限が、来年3月末で切れることが中小スーパー大崩壊の引き金となる。資金繰りに苦しむ中小企業などの借り手から返済計画の変更(返済負担の軽減)を申し込まれた銀行は、できる限り要望に応じるよう義務付けられた法律だ。
同法によって救われた中堅・中小企業は多い。しかし、セーフティネットがなくなるため、再び資金繰りに窮する食品スーパーは事業の継続を断念せざるを得なくなる。
地場の食品スーパーの大崩壊を目の当たりにしたセブン&アイ・ホールディングス、イオンの2強は、地方での陣取りに乗り出した。セブン&アイは11年、近畿日本鉄道の子会社の食品スーパー、近商ストアに30%の出資をした。近鉄の要請を受けて、業績不振が続く近商ストアの再建を引き受けたのだ。セブン&アイは手薄な関西に橋頭堡を築く狙いがある。
一方のイオンは11年秋、中国・四国を地盤とする食品スーパー、マルナカ(香川県高松市)を買収した。イオングループの食品スーパーが大阪・兵庫と中四国地区の合計で212店から413店に倍増。香川県などでシェア1位を握った。
また、エブリデーロープライス(常時低価格)を掲げる首都圏の有力食品スーパー、オーケー(東京・大田区)を、エブリデーロープライスの本家本元、米ウォルマートのトップが訪れたことが話題になった。狙いはオーケーの買収だ。だが、実質、無借金経営のオーケーはウォルマートの申し入れを断ったという。
しかし、子会社・西友の立て直しにメドをつけたウォルマートは、日本の小売業を新たに買収すると表明している。ダイエーなどを別にすれば地方の中堅スーパーが有力候補だ。
中小スーパーの、大手に対抗する動きも強まっている。食品スーパーで売上高1位のライフコーポレーション(大阪市)と同7位のヤオコー(埼玉県川越市)は、ヤオコーの持ちかけで今年6月に業務提携した。ライフは首都圏と近畿圏、ヤオコーは埼玉県が地盤だ。
経営体質がまったく違う両社の提携は、流通関係者を驚かせた。ライフは三菱商事の出資を受け入れ、岩崎高治氏を社長に招聘。組織を重視した三菱商事流の経営手法を取り入れ、大手スーパーに対抗できる経営体質を作り上げた。一方、ヤオコーは川野清巳社長一族の同族経営。最終純利益を20期連続して更新中の食品スーパーきっての高収益会社だ。
この提携に対する流通アナリストの見立ては「資本提携に進む」と「提携はご破算になる」に大きく分かれた。「首都圏最強のタッグ」といわれているライフとヤオコーの提携は、両社の企業体質の違いをどうやって乗り越えていくかにかかっている。