2大就活サイトであるリクナビは、その存在自体が危機に追いやられた。厚労省が職安法違反で行政指導をした9月6日に先立ち、政府の個人情報保護委員会が8月26日にリクルートキャリアに対して是正勧告を出していた。同委員会が是正勧告を出した初のケースとして、リクルートグループには大きな負の“勲章”が付いた。世間からはリクルートキャリアだけの問題ではなく、リクルートグループの問題として理解されよう。
実際、7月末には3700円を付けていたリクルートHDの株価は、9月6日には3,255円(終値)とほぼ15%下がった。行政指導を受けて、今後さらに下がると予測されている。
今回の問題で私がもう一つ指摘しておきたいのは、親会社であるリクルートHDの「無対応」である。リクルートキャリアの小林大三社長は8月26日に謝罪会見を行ったが、リクルートHDの対応については寡聞にして聞くことがない。
そもそもリクルートHDも内定辞退率の予測を購入していたというから、話にならない。問題の構造を顧客企業として把握していたはずの親会社は、それを放置して株価下落に見舞われ、株主に損害を与えたという側面があるのではないか。リクルートキャリアに対する監督責任について、リクルートHDの経営陣は説明責任を果たすべきだろう。
今回の問題については、まず個人情報保護委員会が動き、厚労省が続いた。しかし、問題の構造やその広がりから、文部科学省や総務省も大きな関心を持ち関与することを期待したい。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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