会社員が副業をする場合、まずその目的を明確にしておかなければなりません。会社員を続けながら副業に取組む以上は、時間を費やしたり、リスクを取ったりしなければなりません。そのためまずは、目的や優先順位を明確にする必要があります。目的としては、以下の4つに分類されます。
(1)本業を活かしながら果実を得たい
(2)日々を楽しくしたい、ストレスから解放されたい
(3)(本業に関係なく)効率よくカネが欲しい
(4)とにかく早く少しでもカネが欲しい
本連載の前回記事では(1)について述べましたので、今回はその続きです。
(2)日々を楽しくしたい、ストレスから解放されたい
「楽しむ」という権利を得るためには、当然ながら相応の努力か資金が必要になってきます。執筆業を副業とする場合、例えば業務上の付き合いや接待利用で飲食店について詳しい人が、レストランガイドや接待の作法などをまとめて本やコラムを執筆するケースなどがありますが、やはり相応の努力が必要です。強者の例では、仕事関係の接待で安心して行けるような風俗店について詳しくなった方が、風俗情報誌のライター稼業を兼ねてしまった例もあります。
そうしたあまり人に言えないケースは別としても、海外駐在経験者が現地の情報に少しオリジナリティのある分析を交えて発信したり、営業マンが独自の営業スキルについて話題にしたり、あるいは総務部の方が備品のお得な買い方などを紹介するといった正統派の例もたくさんあります。
しかし、そうした仕事を取るまでが大変です。メディア関係者などと接点をつくるまでにハードルがあり、さらにその後もメディア内外による息の長い審査・評価があります。ライターが本業である人との熾烈な競争もあります。それを乗り超えて晴れて執筆業を副業にできれば、普段の会社員生活を送っている最中も頭の整理や活性化につながりますし、あらゆる情報への感度も高まります。それを口実に行動できたり物事を受け止めたりできるようになると、会社組織で味わう嫌なこともまったく気にならなくなってきます。あまりお金にはなりませんが、お金で買えない価値を得られます。
SNSやブログで書いてしまえば文章を世に晒すことは容易にできますが、やはり他人から1円以上のお金をいただいて書くとなると、芽生える責任感が違います。さまざまなことに触れるたびに「他人にどう伝えるか」を考えるため情報感度が高まり、段違いの時間の過ごし方をするようになってきます。執筆業は、それによって生計を立てることは難しいですが、会社員だからこそ薄謝でも時間をかけて続けられるという側面があります。