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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」

おてごろマック、今週末の前代未聞プロモで復活に導くか?かえって悪評広がるリスクも

文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO

 さらに500円以下を見渡せば、大手牛丼チェーンの牛丼は1杯400円以下で食べることができますし、スーパーなどでは298円など低価格のお弁当の品揃えの充実を図っています。そして究極には、ランチ代を節約するために自分でお弁当をつくって持参する人も増えているのです。

 このように消費者全体が外食にかける予算にシビアな時代、満を持して投入したマクドナルドのおてごろマックが、これら強力なライバルに負けず劣らずのバリューを提供できなければ、顧客をライバルから奪うどころか、逆に奪われかねない事態も十分に考えられるのです。

おてごろマック発売日前日に前代未聞のキャンペーンを展開

 マクドナルドは今回のおてごろマックを強力に推進するために、前代未聞のプロモーションをぶち上げます。それが、全国発売予定日の前日、10月25日の14時から17時限定で、なんと30万人に新メニューである200円マックを無料で提供するキャンペーンを実施すると発表したのです。

 このマクドナルドの無料キャンペーンと聞いて、ピーンときた方もいらっしゃるかもしれません。

 そう、かつてマクドナルドは、プレミアムローストコーヒーを発売した際に、無料キャンペーンを展開して多くの顧客を引きつけ業績アップにつなげた成功体験があるのです。今回は商品をコーヒーからハンバーガーに変えて無料キャンペーンを展開することにより、「かつての成功よ、もう一度」という思いを込めているのでしょう。

 ただ、コーヒーとハンバーガーでは原価に大きな違いがあることを考えれば、前代未聞のキャンペーンといえなくもありません。恐らく、30万人もの顧客に今後自社の主力となる商品をいきなり無料で提供した前例は、あまりないのではないでしょうか。

 マクドナルドにとって、この前例のない無料キャンペーンを展開するに当たり、いくつかの狙いが考えられます。

 まず1つ目には、前代未聞のプロモーションを展開することにより、テレビなどのニュースで取り上げてもらい、パブリシティとしておてごろマックをプロモーションしていくという狙いです。

 今回のキャンペーンは、日にちと時間が限定されており、恐らく開始直後の10月25日の14時にはマクドナルドの店舗に顧客が殺到することが予想されます。この前代未聞のプロモーションと顧客が店舗に殺到する様子は、マスメディアにとって格好のニュース材料であり、当日は多くのメディアが取材に訪れる可能性が高いでしょう。数多くの全国ネットで取り上げられれば、広告費に換算して数億円の効果を得ることもできるでしょう。

安部徹也

安部徹也

株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。97年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し代表に就任。現在、本業にとどまらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』には、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。

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