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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」

おてごろマック、今週末の前代未聞プロモで復活に導くか?かえって悪評広がるリスクも

文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO

 たとえば、このキャンペーンにかかるコストは、200円マックの原材料費が30%と仮定すると、60円×30万人=1800万円であり、昨年度の販売促進費として11億円、そして広告宣伝費として59億円を計上しているマクドナルドにしてみれば、微々たるものです。このコストで数多くのメディアに取り上げてもらうことができるのなら、費用対効果は相当に高いという算段を立てることもできるのです。

 続いて2つ目には、インターネットによる拡散を狙っているという点です。

 今回のキャンペーンは、誰でも無料でハンバーガーがもらえるわけではなく、おてごろマックの愛称にちなんで、「エグチ」「バベポ」「ハムタス」という名前、もしくはニックネームを持つ者のみが対象になっています。「エグチ」はともかく、「バベポ」「ハムタス」という名前の人は恐らく存在しないでしょうから、わざわざFacebookやTwitterなどのSNSで名前を変更して無料のハンバーガーをゲットしようとする人が続出すると睨んでいるのです。結果として、一気におてごろマックのラインナップの愛称がソーシャルネットワーク上に拡散し、コストをかけずに口コミでより多くの潜在顧客に伝わるというシナリオが描けるのです。

 そして最後の3つ目には、クロスセリングによって、トータルで利益を上げることを狙っているという点です。

 一般常識から考えて、無料のハンバーガーだけをもらいに来店するというのはなかなか気まずいものです。そこで、店員から「ポテトとドリンクもご一緒にいかがでしょうか?」と声を掛けられれば、ハンバーガーが無料なだけに追加で注文する顧客も一定数に上るはずです。

 マクドナルドでは、特にポテトやドリンクの原価が低く、もし定価でポテトやドリンクを追加した場合は、ハンバーガーを無料で提供したとしてもトータルで利益が出る可能性があるというわけです。

 このようにハンバーガーは無料で提供しますが、マクドナルドとしてのコストは最小限にとどめられるどころか、うまくいけば十分なメリットを享受することもできるキャンペーンともいえるのです。

安部徹也

安部徹也

株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。97年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し代表に就任。現在、本業にとどまらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』には、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。

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