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支出上限を意識する消費者にはキャッチーなだけの商品では太刀打ちできない時代へ
インターネットの普及で比較購買をする習慣が身についた消費者は多いが、有馬氏はこれに加えて「自分が支出できる範囲を意識して、上限を設定したうえで計画購買をする“総額上限設定型”という、云わば子供が月額のこづかいで出費をやりくりする感覚に近い金銭感覚が多くの消費者の習慣になるのでは」と分析する。つまり、消費者が買い物に出かける時には、常に支出可能な上限予算が意識される時代になるということだ。ということは、消費者の財布の紐はこれまで以上に堅くなるが、そんな“買い渋りの時代”に企業はどう対抗すべきなのだろうか。
「長期的に考えた場合、企業側は総支払額に対して割安感を訴える工夫をしないと、買い控えに太刀打ちできません。当面は企業側のプロモーションによって消費マインドの冷え込みを抑える努力をするかと思いますが、一定の期間を過ぎるとこういった“総額上限設定型”の購買習慣が定着した“賢い消費者”が増えて、販売に苦戦することが予想されます。そういう時代になると、小手先で魅力を訴えただけの商品では通用しないので、真に消費者の心をつかむ商品やサービスの提供と、魅力を伝えることを総合的に展開するマーケティングが必要になってくるでしょう」(同)
これまではとりあえずキャッチーでさえあれば買ってもらえた商品も、これからはそうはいかなくなる可能性も。今後は賢くなった消費者を「これなら買ってもいいだろう」と真に納得させなければならないのだから、増税は消費者だけでなく企業にとっても試練となりそうだ。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)
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