転変するQBハウスの資本
キュービーネットは投資資本の間を転々としてきた。06年に小西氏から同社の74%株式をオリックスが30億円で購入し、同氏はこれを機に退任した。オリックスは78%まで取得した後、10年に至りジャフコに約100億円で売却し、ジャフコは残りの株式も取得した。14年末に今度は投資ファンドのインテグラルがジャフコから購入するのだが、その時の価格がまた約100億円だとされる。インテグラルは当時スカイマーク救済に奔走していたのだが、一方でキュービーネットの経営も手がけていたわけだ。
気になるのは、ジャフコが取得した価格からインテグラルに転売された価格が増大していないことだ。投資ファンドがエグジットする場合、ハイ・リターンを求めるのが通常なので相対での譲渡で企業価値の向上が認められなかった、ということになる。また、オリックスもジャフコもIPO(上場)というエグジットの道を選択せず、他ファンドへの2次譲渡としてしまった。
上場は果たしていないものの、キュービーネットの業績は悪くない。15年6月期の年商は150億円で前年比8%の伸びで、利益もしっかり出ている。年商でみると、阪南理美容社(365億円)、アルテサロン(168億円)に次ぐ業界3位である。ちなみに、このランクからもキュービーネットはブルー・オーシャンの事例ではないことがわかる。
「3年後までには250店を増やし、国内600店、海外150店としたい」(同社松本修管理本部長)とし、同業上位他社より海外志向が強い。「ビジネス・モデル的には創業時から変わっていない」とも松本氏はしているが、「北野社長体制で引き続き力を入れていくのが、ヒト、特にスタイリストの養成で、サービス業で人手不足の時代となっていることから、ヒトの確保と養成が当社の成長を決める」との認識を示した。
国内でも成長余地はあるだろうが、日本発祥のサービス形態が海外でもどれだけ大きく育っていけるのか、私はそちらのほうに注目していきたい。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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