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疲弊する現場
一方、日経が国内で抱える問題も深刻だ。日経本紙と日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスに電子版が加わり、媒体を増やしすぎた。記者は記事出稿に追われて取材に十分な時間や労力を割くことができなくなり、かつては日経本紙の1面を飾ったスクープ記事がめっきり減ってしまった。つまりは経営資源の配分にあたって集中と選択ができず、戦線が拡大しすぎた結果、前線の兵士が疲弊しているのだ。経営トップの女性スキャンダル問題などの不祥事もあり、企業が日経を大切にしなくなった面もあるだろう。
士気が低下したベテラン記者やデスクたちが「かつての日経の良さはなくなった」と会社を去っていき、情報収集のノウハウや取材人脈が若手に継承されなくなった点も見逃せない。しかもこれに対する有効な手立てが見つかっていないのが現状だ。
内憂外患の日経にとって、FT買収は鬼が出るか蛇が出るか、予断を許さない。
(文=編集部)
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