タカタは11月3日、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)とエアバッグに関する一連のリコール問題で同意指令に合意した。同意指令は、民事制裁金7000万ドル(約85億円)を分割で支払うことや、同意指令に定められた義務に違反した場合、別途最大1億3000万ドル(約156億円)の民事制裁金の支払うことのほか、火薬として硝酸アンモニウムを使用したインフレーター供給を新規契約しないことと、2018年末までに硝酸アンモニウムを使用したインフレーターの製造を段階的に中止するというもの。
タカタ製エアバッグのリコール問題は、エアバッグが異常破裂し、部品である金属片などが飛び散り、乗員を死傷させる。一部では製造上のミスなど、不具合原因が明らかになっているが、大部分は原因が不明。原因が明確でなければリコールできないが、自動車メーカー各社は事故を未然に防止するため、調査リコールと称して自社の金銭的負担でリコールを実施している。原因が明らかになり、タカタに原因がある場合、求償することにしている。
タカタ製エアバッグの不具合原因は依然として不明だが、米国などでは、タカタの硝酸アンモニウムを使用したインフレーターが原因との見方が出ている。タカタと同様、エアバッグ用インフレーターは、ダイセルやオートリブも製造しているが、硝酸グアニジンを使用しており、硝酸アンモニウムを使用しているのはタカタだけ。硝酸アンモニウムは取り扱いが難しいものの、部品を小型化できるメリットがあり、これがタカタ製インフレーターの競争力にも結びついていた。タカタでは、硝酸アンモニウムの安全性を強調してきたが、高まる不安を打ち消すため、硝酸アンモニウムの使用を段階的に取り止めることにした。