小関新体制のもと、22年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画をまとめた。筆頭株主である伊藤忠と連携し、伊藤忠が強みを持つ中国事業を強化することなどを柱とするものだ。中国事業が近い将来、日本と韓国を超える売り上げ規模になると想定している。
だが、中国のグループ会社は持分法適用会社のため、デサントの財務諸表の数字には表れない。そのため中国(香港・台湾含む)の4~9月期の売上高は34億円と、まだ小さい。ただし、中国(香港・台湾除く)の同期の現地売上高は前期比29%増の117億円。3年前から中国のスポーツ用品大手の安踏体育用品(アンタ)との合弁で「デサント」ブランドの店舗拡大に取り組んできた成果が現れた。「デサント」ブランドの売上高は人民元ベースで同90%増と大幅に伸長し、中国事業は4~9月期で黒字転換した。
足元では連結売上高の約5割を占める韓国事業が不買運動の直撃を受け業績が悪化した。韓国事業の落ち込みを補うためにも、早急に中国事業を連結決算の対象に組み入れる必要がある。とはいえ、相手がある合弁事業だ。連結子会社化へのプロセスは容易ではない。デサントを買収した伊藤忠には、大きな誤算だ。
ユニクロやアサヒが不買運動のターゲットに
韓国で日本製商品の不買運動は広範囲に及んでいる。ファーストリテイリングが運営するユニクロは韓国の若者に大人気だ。庶民的なアパレルがない韓国では、ユニクロは13年から6年連続でアパレルのシェアで第1位と独走。韓国ファッション売り上げで初の年間1兆ウォン(約1000億円)を達成した。ユニクロが誰でも知っている有名ブランドになったため、不買運動のターゲットになった。
<共に民主党(政党名)パク・グァンオン議員が発表した資料によると、ユニクロの9月の売上高は91億ウォン(約9億1000万円)で、前年9月の売上高275億ウォン(約27億5000万円)に比べて67%減少した>(11月12日付スポーツソウル日本版)
不買運動の対象になっていない「GU」を求める韓国消費者は少なくないという分析もある。ユニクロの韓国事業は「GU」で稼いでいる、との見方もある。
アサヒグループホールディングスは19年12月期の連結純利益予想を下方修正した。海外事業のうち韓国を含む部門の事業利益予想を75%減の5億円に下げた。10億円の下方修正だ。3分の1になるということだ。韓国での日本ビールの不買運動が影響した。
<7月まで韓国で最も多く売れた上位10ブランドのビールのうちアサヒ、キリン、サッポロの3ブランドが日本産ビールだった。だがアサヒが3位から36位と30位圏外に押し出された。輸入ビールで1位のブランドだったアサヒビールは戦犯旗(旭日旗)を自社ビールのデザインに使ったという点が議論を呼び起こした>(10月6日付中央日報日本語版)
アサヒは「スーパードライ」が人気で、18年まで8年連続で韓国の輸入ビールのシェア首位だった。日本ビールの不買運動の結果、中国産ビールや韓国の国産ビールが恩恵を受けた。
(文=編集部)