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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

後継者問題が社会的に深刻化!多くの中小企業が存亡の危機…事業承継に悩んだらこうすべき(前編)

文=中沢光昭/経営コンサルタント
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後継者問題が社会的に深刻化!多くの中小企業が存亡の危機…事業承継に悩んだらこうすべき(前編)の画像1経営者の年齢別事業承継の準備状況(「中小企業庁 HP」より)

 今に始まった話ではありませんが、企業を投資対象とする投資会社の方とお話しすると、2回に1回くらいは「投資先がない」という話題になります。投資を検討する候補企業がないというわけではなく、良い投資案件があったとしても、それを検討しようとするとほかの投資会社や関連する事業会社との争奪戦になり、需要と供給のバランスに従って価格が上がってしまうので割に合わなくなる。つまり、買収したとしても、最初に投資した資金が多額になればなるほど、売却する時の目標金額が上がっていくため、それを実現するシナリオや手段が見えないというのです。

 裏付けするデータはありませんが、売却したいという会社があったとして、その株式の価値が10億円または売上高30億円を超えるレベルであれば、買い手候補は多数現れるというシンプルな市場原理が働いているようです。売り手企業が一定以上の規模であれば、大手の仲介・アドバイザー会社が売却先の探索から交渉などを一式請け負うため、豊富な情報量をもとに「この売却企業なら、A社とB社あたりが関心を示すのでは?」といった具合に当たりをつけながら、買い手候補の事業会社や投資会社などへ幅広く尋ねて回ります。情報が十分に流通して市場が形成されている状態にあるため、結果的に需要と供給のバランスで価格が形成されます。

 もちろん力やコネクションのある会社は、「買い手は自社だけ」「自社が圧倒的にふさわしい」と売り手に思わせることで相対取引を成立させ、双方にとって心地良いM&A(合併・買収)を成立させます。もっとも、最近ではレアケースになってきているようです。

 では、その規模以下の中小企業ではどうなっているでしょうか。中小企業のM&Aというのは、以前は倒れかけた会社を別の会社が救済するようなパターンが主流でしたが、最近よく話題になるように、後継者問題などによる事業承継が増えています。

話題性に実績が追いつくのはこれから?

 大手M&Aアドバイザーが発表しているデータを見ると、その会社が扱った2009年から14年までの6年間の約1万1,500件のデータのうち、「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件」を事業承継M&Aと定義して抽出したところ、14年の年間件数は234件で、そのうち未上場は76件だったそうです。仮に日本で起きているM&Aの25%をその会社がカバーしているとすると、全体4万6,000件のうち事業承継で1,000件弱、そのうち未上場は300件程度となります。つまり、中小企業の事業承継M&Aは年間300件くらいであることがうかがえます。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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