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パソナ、就職氷河期世代“正規雇用”に「露骨なマッチポンプ」「国の助成金狙い」との批判

文=編集部
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南部靖之パソナグループ代表(西村尚己/アフロスポーツ)

 政府が打ち出している就職氷河期対策が物議を醸している。政府は23日、30~40代の「就職氷河期世代」の支援に向けた行動計画を発表した。民間企業や地方自治体での正規雇用促進を核に、国家公務員でも内閣府や厚生労働省で中途採用の募集を始める。官民で正規雇用者数を計30万人増やすのだという。

 これに先駆けて、民間企業の嚆矢として人材派遣大手のパソナグループが12日、氷河期を対象に約300人を雇用する新制度を発表した。だが、当の就職氷河期世代を中心に政府の場当たり的な政策に不信感が噴出している。

 今回の政策に対して、政府は2019年度補正予算を含め、22年度までの3年間で約650億円の予算を確保する予定だ。同事業に取り組む自治体向けの交付金制度も創設。地方創生などを掲げる就職説明会や奨学金の返済支援などを促すという。

 こうした政府の動きに先んじて、パソナは氷河期雇用対策を打ち出した。同社のプレスリリースによると、同社が兵庫県の淡路島で実施する事業に携わる社員200人、全国で地方創生に携わる100人を正規雇用する。職種は営業、管理、デザインなどで年収は400~600万円を想定している。一方、来年度の新卒採用は抑制する方針という。共同通信によると、同社の南部靖之グループ代表は会見で以下のように述べたという。

「氷河期世代の人たちをいかせば人手不足や東京一極集中の解消にも大きな力添えをしてくれる(中略)地方の経済を支える礎になってほしい」

パソナの「露骨なマッチポンプ」

 地方創生分野で、パソナは淡路島(廃校活用事業)や東北(東日本大震災復興事業)など全国で精力的に事業を展開中だ。その多くが、国の地方創生加速化交付金や震災復興予算などを原資に各自治体が発注したり、助成したりしている事業だ。今回の「氷河期採用」はそのための人員となる。これに対して、Twitter上では次のような批判が噴出している。

「餓えさせて炊き出しみたいな趣味の悪さを感じる」(原文ママ、以下同)

「氷の海に叩き落とした主犯が、座興に釣り糸を垂らし掴まってくる様を楽しむような」

「ロスジェネを搾取してきたピンハネ屋パソナが微々たる正社員登用で恩を売るという露骨なマッチポンプは醜悪の一言に尽きる。そして、こんな企業に政府から『支援策』などという形で公金が流れるなど言語道断」

「赤字垂れ流し事業に配属して助成金狙いや」

「年末最後に笑かしよる。派遣社員地獄を作った一味が善人ヅラしやがって」

 就職氷河期世代にとって、パソナのような派遣会社は、「非正規社員を少なからず食い物にすることで利益を得てきた」とのイメージが根強い。また同社が派遣事業を大々的に展開したことで、企業の正社員採用を抑制することにつながったという面もあるだろう。

 そもそもパソナは何を根拠にして今回の氷河期正規雇用制度によって都市部への労働人口の一極集中を緩和できるとしているのか。当サイトは同社に見解を求めているが、26日午後7時半現在回答はない。

政府方針にも懐疑的な意見多数

 政府の支援策自体に関して、冷めた意見も多い。

「以前の宝塚市での4名採用でも1635人が受験し545倍。新卒時代にそういう倍率で落ちた人を、また、新たにそういう倍率で落としても絶望感しかない。しかも、受かった人見たら、社労士資格あるとか言う人とか…」

「氷河期枠で採用しますよ~なんて募集かけても焼け石に水」

「政府がすべき事は、今より法人税率上げて、年齢ごとの労働人口比率に応じた雇用をしている企業には減税(現在水準か少し減税)、人口比率から離れれば離れる程増税(現在より大幅増税)にする事だ。そうすれば、氷河期世代に限らず、老若男女や景気を問わず、バランス良い雇用になるし、抜ければ同世代の補充が必要で転職もし易い」

「税金使って氷河期世代雇えば助成金とか、ただのブラック企業支援。氷河期世代枠で数名とか意味がない。本当に困っている人はこの枠に入れない」

そもそも「就職氷河期」の定義は何か

 就職氷河期世代を正規雇用することが、果たして抜本的な対策になるのか。『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)著者で、早稲田大学人間科学学術院文化・社会環境科学研究領域の橋本健二教授は次のように語った。

「まず政府の対策で、各自治体での採用を促進するということですが、採用人数が少ないので競争率が何百倍にもなり、成果はないと思います。加えて国家公務員の採用枠を作るなど、民間企業と合わせて全体で約30万人雇用を作り出すとしていますが、根本的な問題があります。

 そもそも就職氷河期とはいつからいつまでの世代を指すのでしょうか。仮に、1996年から200506年までに社会に出た人と想定してみます。国の学校基本調査の統計をもとに、高卒と大卒のフリーター・無業者数を見てみると、その合計は273万人に上ります。しかし、新卒のフリーター・無業者が増え始めたのはもっと以前からですから、これを前後数年伸ばして93年から08年の期間で区切って見ると382万人になります。そして、バブル崩壊後の91年から2017年までで見ると550万人です。30万人の雇用増では、とても足りません。政府は就職氷河期の定義を『35歳~45歳』としているようですが、その前後にも無業者やフリーターはたくさんいます。雇用が改善したのはここ2~3年のことで、就職難はずっと続いていたのです。

 この550万人の中には、今日にいたるまで正規雇用に転換した人もいると思います。しかし、1~2年違うだけで政府の定義する『氷河期』から外れた人はどうなるのでしょうか。つまり、国の政策で『氷河期』だけを対象とする正当性がありません。非正規労働者はバブル経済のころに日本社会に登場しました。『フリーター』という言葉が出てきたのは87年です。当時、フリーターになった人は今年55歳になります。そこを頭にして、今日に至るまでずっと非正規労働者が生み出されてきたのです。政府の設定している氷河期世代というのは、その約半分に過ぎないのです。

 特にリーマンショック後には、大卒のフリーター・無業者が急増しました。高卒のフリーター・無業者は増えていませんが、これは少子化に加えて『進学しない子ども』が減ったからだと思われます。しかも、政府は専門学校・専修学校卒業生のうち、フリーター・無業者になった人数を把握していません。そうした人は約100万人以上いると思われます。

すべての人が対象となる制度改正が必要

 世代・年齢を問わずに救済していくためには、すべての人が対象になる制度改正が必要です。例えば最低賃金法で賃金の大幅な引き上げや、労働時間規制を厳しくして、労働時間の短縮を図り、正規雇用が数量的に増えるようにしないと問題は解決しません。労働時間規制は近年、若干厳しくなりましたが、現状でも過労死水準は免れません。しかも副業解禁の影響で労働時間が増加する人もいます。

 政府の雇用政策に歩調を合わせて、パソナが地方創生をするといっても、効果には疑問があります。そもそも既存の地方企業が正規雇用をする体力がありません。地元に雇用がないから若者が東京に集まってきて、フリーターをやっているわけです。フリーター第一世代は現在55歳。10年後には65歳になります。今までは65歳ともなれば、仕事を辞めて年金生活を送っていたのですが、年金の支給を受けられないので生活保護を受けることになります。ところが政府は今になって、年金受給年齢を70歳まで引き上げようとしています。

 つまり70歳まで、死ぬまで働けということです。そして『70歳まで非正規で働いて自分で生活しろ。年金をあてにするな』と言っている人たちが、今回、『氷河期世代を救済する』と言っているわけです。とても信用できませんよね。

 今回の政策はいずれ氷河期世代の人たちが65歳を超える。その時に生活保護を支給したくない。年金も支給したくない。だから『いまのうちに仕事に就かせておこう』という意図なのでしょう。しかし、それだとしても効果がなさすぎます」

BusinessJournal編集部

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