日本自動販売機工業会調べによると、飲料自動販売機の設置台数は2014年末時点で全国に256万8600台、販売金額は2兆1935億円だという。前年に比べて、設置台数は0.9%減、販売金額は2.6%減となり、5年ぶりにマイナスになった。
飲料の販売チャネルは、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、酒販店などの小売店と、自販機に二分される。飲料販売全体に占める自販機ルートの比率は1998年に44%あったが、14年には30%に低下した。コンビニで飲料を買う消費者が増え、自販機での販売は落ちている。
自販機は14年4月の消費増税で各社が販売価格を引き上げたため、需要が後退。また、缶コーヒーはコンビニコーヒーの台頭によって苦戦した。
「午後の紅茶」と「ダイドーブレンド」を相互供給
清涼飲料大手のキリンビバレッジとダイドードリンコは飲料自販機事業で業務提携。4月から両社が運営する自販機で紅茶とコーヒーの相互供給を始める。
自販機の設置台数は、ダイドーが25万台で4位、キリンは21万台で5位である。キリンは紅茶市場で首位の「キリン午後の紅茶」のミルクティーとレモンティーの2商品を、ダイドーはコーヒーの「ダイドーブレンド ブレンドコーヒー」と「ダイドーブレンド微糖 世界一のバリスタ監修」の2商品を供給する。
この結果、これら4商品を扱う自販機は50万台規模になる。キリンは販売競争が激しい缶コーヒーでダイドーの主力ブランドを販売できる。ダイドーは手薄の紅茶飲料の品揃えが強化できる。互いの主力商品を供給し合うことで自販機1台当たりの売り上げを伸ばしたい考えだ。
ダイドーは屋内外の幅広い地域に自販機を抱え、飲料の売上高の8割以上を自販機が占める。キリンはオフィスビルや複合ビルなど屋内での設置が多く、特定の客が繰り返し利用する傾向が強く、自販機での売り上げは3割である。
自販機から生まれたヒット商品が缶コーヒーである。ダイドーにとって、缶コーヒーは全売り上げの5割を占める主力製品だ。
ダイドーの15年1~10月期の連結決算は、売上高は前年同期比約1%減の1147億円、営業利益は約23%減の40億円、純利益は38%減の19億円だった。自販機での缶コーヒーの販売が落ち込み、飲料販売部門の売上高は1.2%減となった。セグメント利益が24.5%減り、同部門が減収減益になったことが響いた。
コンビニ各社は入れたてコーヒーの販売を伸ばしている。コンビニコーヒーが自販機の缶コーヒーに大打撃を与えたことをダイドーの決算の数字が示した。