「きれいな女の人が運転するタクシーに乗ったよ」という声を、しばしば耳にする。
現在、東京都内では約800名の女性運転手がタクシーのハンドルを握っている。割合にして全体の約1%だが、最近は大手タクシー会社を中心に積極的に採用が行われており、年々増加している。少し前には、女性芸能人が運転手デビューしたことが、インターネット上で話題になった。
さらに、最近は車椅子のまま乗車できる介護タクシー、妊婦のための陣痛タクシー、子供だけでも安心して乗車できるキッズタクシーなど、サービスが細分化されており、「女性ならではのこまやかさが、こうした専門職に向いている」ともいわれている。
そんな彼女たちの勤務形態は「日勤」(早朝~夕方)がメインだが、なかには男性と同じ「隔勤」(早朝~翌朝)で働く女性もいる。
彼女たちは、世の男性諸氏の「飲んだ後は“美人運転手”の車で帰りたい」という望みをかなえてくれる存在だが、夜勤務の場合は酔客を相手にすることも多いはずだ。
そこで、女性運転手の現実を知るべく、Aさん(29歳、独身)、Bさん(31歳、既婚)、Cさん(37歳、シングルマザー)の3名に話を聞いた。いずれも容姿端麗で会話上手な女性である。
チップ総額20万、車中で下半身の悩み相談…
まずは「女性ならではの利点」から。「近距離客でも、笑顔で対応すればチップがもらえます。7000~8000円の料金だったのですが、1万円札を出されて『お釣りはいいよ』ということも何度かありました」と語るのはBさんだ。
もらったチップを1年貯めたところ、総額20万円にも上ったというが、チップをくれるのは「圧倒的に男性客」という。また、道を間違えたり遠回りをしたりしても、「急いでいない限り、怒られることはほとんどない」(Bさん)。
Aさんは、「料金5000円ぐらいのお客様でしたが、話しているうちに盛り上がり、『この辺、初めてだったら案内してあげるよ』となりました。川崎あたりの埠頭をぐるぐる回り、タクシーチケットの料金欄に『1万5000円』と書いていただき、軽く海辺でお話ししました」と語る。
「感じもいい人でしたし、給料日前の暇な日だったので、ラッキーでした」と言うが、これなど男性運転手には到底あり得ない話だ。