「週に一度、六本木から藤沢までお帰りになるお客様に、ひいきにしていただいています」とはCさん。料金2万円以上の上客に気に入られたきっかけは、「下半身のお悩み相談」だったという。
「『最近、あっちのほうが弱くなってね。女性って、やっぱり強い男性に惹かれるのかな』という質問に『人それぞれだと思いますよ』とお答えして、そこから夜の話になりまして……。最近は、教育や退職後の話など、いろいろな会話をしています」と語る。
まんざらでもなさそうな言い方に「もし誘われたら、どうしますか?」と質問すると、「一度ぐらいはデートもいいかな、って思っています」と返ってきた。
仕事の愚痴や人生相談も含めて、乗客に「車内での会話を楽しんでもらえる」というのは、女性運転手ならではの現象といえる。
ホテルに誘われ、時には露出狂の相手も
面白いのは、多くの男性運転手が経験する「後部シートでのカップルのキス」は、3人とも未経験だった点だ。とかくタクシー運転手は空気のような存在にされがちだが、このあたりは男性客が「女性」の存在を意識するからだろうか。
逆に「男性客からのセクハラ」は、女性運転手ならではの試練だろう。「彼氏いるの?」「パンツ何色?」などは、月に一度ペースのいわば“常套句”。「(話に)付き合ってあげてもいいな、と思うような会話上手な人なら付き合いますが……」(Cさん)とは言うものの、そんな客は少ない。
こうしたケースの場合、「裸にエプロンっていいよね」「好きな体位は?」などと続けた挙げ句、最後はホテルに誘ってくることもあるそうだ。
「赤坂から船橋までの客が、高速を降りた途端に『ホテル行こうよ。2万円でどう?』と。『バカにしないでください!』と言うと『前に乗ったお姉ちゃんが応じてくれたから、イエスと言ってくれるかなと思って』って……。効率のいい無線のチケット客でしたが、会社に『もう私に配車しないでください』と言いました。会話に付き合った私も悪いけど、今思うと、軽く見られたのかな、と思います」(Aさん)
また、助手席のシートを抱くようにして話し、いつしか肩に手が伸びる……なんて経験も少なくないという。「それくらいはどうってことありません」(同)というが、その手が胸などに伸びてきたらどうだろうか。
「以前なら『やめてください!』とはねつけましたが、今はドライブレコーダーがあるので、そもそも伸びてきません」(同)とのことだ。