オードリー春日が広告塔の筋肉サプリで景表法違反…「知らなかった」で済まされないレベル

　消費者庁は３月６日、株式会社エムアンドエムに対し、景品表示法違反があったとして措置命令を行った。同社は「ファイラマックスサプリＨＭＢ」という健康食品を「あたかも、健康的な食事や運動とともに、毎日４粒を目安に摂取し続ければ、効率よく筋肉増強効果及び痩身効果が得られるような表示をしていた」ため、消費者庁は根拠となる資料の提出を求めた。しかし、提出された資料は「裏付けとなる合理的な根拠を示したものではない」として、消費者庁は景品表示法に違反する行為（優良誤認）と認定した。

　この商品の広告には、お笑い芸人の春日俊彰さん（オードリー）や小島よしおさんが起用されていた。表示媒体は、いずれもエムアンドエムのウェブサイトだが、その内容は、両氏とも単に名前を貸した、写真を貸したというレベルではない。消費者庁が公表した小島さんの表示例は次の通りである。

＜例１＞

・表示期間：少なくとも平成３１年４月１０日

・表示内容

　本件商品を手にした筋肉質な人物の画像と共に、「肉体派芸人の 小島よしおさんもトレーニング後に即ファイラ！！」及び「ｋｏｊｉｍａｙｏｓｈｉｏｐｉｙａ ３／５ 隅田川 ６０分９ｋｍ 最近はトレーニング終わりの体にファイラマッスルサプリで即エネルギー補給！ ＨＭＢとＢＣＡＡを同時摂取ピーヤ！ カロリーカット成分も入ってるからロケ弁のお供にも^_^ もうすぐ薄着の季節。 細マッチョを目指しているメンズ、密かにシェイプアップをと思ってるレディーの皆さまにもおススメおっぱっぴー！ 一緒に頑張りましょう。＠ｆｉｒａｍｕｓｃｌｅ ＃ランニング ＃筋トレ ＃ファイラマッスルサプリ ＃ファイラ ＃ｈｍｂ」と記載

　春日さんの表示例は、複数紹介されている。

＜例２＞

・表示期間：少なくとも平成３１年４月１０日

・表示内容

「“オードリー春日さん”も抜群のボディビル体型維持の栄養補給に『ファイラマッスルサプリＨＭＢ』をご愛飲」と記載の上、本件商品を手にした筋肉質な人物の画像と共に、「水さえあればどこでも飲めるのが良い。軽いし邪魔にならず、いつどこでも飲めるようにバッグに入れている。筋肉の栄養分ＢＣＡＡとＨＭＢも入っているし、スッキリ系成分の『インディアンデーツ』。 このファイラマッスルサプリＨＭＢで初めて知ったのだが、なかなかに良し！」と記載

＜例３＞

・表示期間：少なくとも令和元年５月１７日

・表示内容

「あのオードリー春日さんも愛用」、並びに筋肉質な人物及び本件商品の画像と共に、「ファイラマッスルサプリＨＭＢでタルんだ体にトゥース！」、「１２０粒入り（約１ヶ月分）」、「ＨＭＢ配合でパワーアップ！」、「超アップ系 ＨＭＢ＆ＢＣＡＡ」、「カット系 インディアンデーツ ３，０００ｍｇ」及び「Ｗ作用の２層式粒」と記載

・表示内容

　筋肉質な人物及び本件商品の画像と共に、「ファイラなら シェイカー不要！ いつでもどこでも速攻吸収！」、「サッと出して」、「パクッ！」、「水で飲むだけ」、「春日は毎日飲んでるぞ！」及び「しかも！」と記載、並びに筋肉質な人物及び本件商品の画像と共に、「手軽！ １日目安 ４粒」、「低カロリー！ １日約 ５ｋｃａｌ」、「低コスト！ １日約 １７２円」及び「を実現！！」と記載、並びに筋肉質な人物の画像と共に、「理想に近づく！」と記載

＜例４＞

・表示期間：少なくとも令和元年８月１９日、少なくとも令和元年９月１９日、少なくとも令和元年９月３０日及び同月２３日並びに遅くとも令和２年１月２８日から同年２月２５日までの間

・表示内容

「あのオードリー春日さんも愛用」、並びに筋肉質な人物及び本件商品の画像と共に、「ファイラマッスルサプリＨＭＢでタルんだ体にトゥース！」、「栄養機能食品 ビタミンＢ２」、「ＨＭＢ配合でパワーアップ！」、「超アップ系 ＨＭＢ＆ＢＣＡＡ」、「スッキリ系 インディアンデーツ ３，０００ｍｇ」及び「Ｗ作用の２層式粒」と記載

「オードリー春日さんもファイラマッスルサプリＨＭＢを大絶賛！」と記載の上、本件商品を手にした筋肉質な人物の画像と共に、「水さえあればどこでも飲めるのが良い。 軽いし邪魔にならず、いつどこでも飲めるようにバッグに入れている。栄養分ＢＣＡＡとＨＭＢも入っているし、スッキリ系成分の『インディアンデーツ』。 このファイラマッスルサプリＨＭＢで初めて知ったのだが、なかなかに良し！」と記載

結果的に消費者を騙す

　春日さんは上記例以外でも、インタビュー取材を受け答えている場面や、「春日さんからのメッセージカードが届く」というキャッチコピーで「『理想の体を手に入れて、自分を変えたい！』そう思っているキミへ」というメッセージが、春日さんの写真入りで広告に掲載されている。

　こうした広告により、消費者には、いかにも「春日さんはこの食品を摂取した効果により筋肉増強ができた」かのような印象を与えている。これは「知らなかった」というレベルではない。本人が、たとえ効果を信じていたとしても、効果効能をうたう広告である以上、合理的な根拠がなければならない。そうでなければ、たとえ消費者を偽る意思がなかったとしても、結果的に消費者を騙すことになる。昨年も、タレントのヒロミさんが推奨した健康グッズが景表法違反で摘発されている。

　毎日のようにテレビに出演するタレントの言動を信用する消費者は非常に多い。だからこそ、事業者は広告塔として起用する。起用されたタレントも「自分も騙された」と思うかもしれないが、有名になればなるほど、くれぐれも安易に広告を引き受けないでほしい。

（文＝垣田達哉／消費者問題研究所代表）