食品メーカーのフジッコが提供する「カスピ海ヨーグルト」に勢いがある。同社は、「カスピ海ヨーグルト」を同社の成長ブランドと位置付け、社員一丸となって育成に努めている。今年の5月初旬より、同社の社員たちがスーパーなどの店頭に立って、直接消費者と対話をしながら試食販売を実施してきた。
この日、6月17日はその最終日であり、代表である福井社長自らダイエー池田駅前店(大阪・池田市)の店頭に立ち、「カスピ海ヨーグルト」の美味しさや食べ方などを消費者へアピールした。
ヨーグルト製品事業の売上は、2015年度売上、前年比8%アップと計画を大幅に上回っている。福井社長によると、昨年9月に発売された『脂肪ゼロ』商品の売上げも大きく伸びている状況で、新中期計画の3年後は80億円を目指していくという。
フジッコといえば、煮豆の「おまめさん」や佃煮の「ごま昆布」などのイメージが強く、カスピ海ヨーグルトが同社の商品と聞いて、すぐにはピンとこなかった読者も多いのではないだろうか。今回の試食販売で提供したのは、カスピ海ヨーグルトに黒豆を合わせたもの。同社の主力商品と合わせたメニューだ。
日本にカスピ海ヨーグルトの乳酸菌(クレモリス菌FC株)が持ち込まれたのは1986年。長寿の研究で知られる武庫川女子大学国際健康開発研究所所長・家森幸男氏がジョージア(旧グルジア)のコーカサス地方からその菌を研究の為に持ち帰ったことが始まりである。
その後、独特の粘り気と穏やかな酸味が人気を呼び、カスピ海ヨーグルトは一般家庭にも浸透していった。そして、その菌をより安全に管理するため、家森先生が協力を仰いだのが、フジッコだったのだ。
「家森先生とは大豆に含まれるイソフラボンの研究で長年ご縁がありました。そんな家森先生から菌の管理を依頼され、手探りで始めたのが、ヨーグルト事業だったんです」(福井社長)
こうして、家庭でカスピ海ヨーグルトをつくるための「カスピ海ヨーグルト手づくり用種菌」を2002年より発売。手作りヨーグルトのブームを作った。スーパーなどでも購入できるヨーグルト製品としては、06年より「カスピ海ヨーグルト プレーン400g」の発売を開始した。現在では、ファミリータイプのヨーグルトとしては高価格な独特なポジションを維持している。