藤森氏はGEの頂点に立つ40人ほどの経営委員会のメンバーで、10年にわたって、その席に座り続けた。アジア人の上級副社長は藤森氏が初めてだった。潮田会長は、海外売上高1兆円達成の切り札として、藤森氏を社長兼CEOとして三顧の礼をもって迎えた。
経済誌サイトのインタビューで藤森氏は、海外事業を1兆円に伸ばす秘策について、「M&A(合併・買収)を駆使して土台をしっかり作れば、その後は飛躍的に成長するはず。だから身の丈の2倍、3倍の企業を買収して、とにかく土台を作る。大手に限っても、買収のターゲットが5社はある。新興国の地場企業に至っては数え切れないほどだ。可能性は無限である」(「ダイヤモンドオンライン」11年12月16日付)と強気の見通しを語っている。
国際的カーテンウォールメーカーの買収で、賽は投げられた!?
その藤森氏だが、6月末に東京電力の社外取締役に就任する。会長に就任する下河辺和彦原子力損害賠償支援機構運営委員長が中心になって社外取締役を人選したが、果たして藤森氏に東電の経営に参画する余裕があるのだろうか? いささか心配である。
そんな折、住生活G傘下の事業会社リクシル(LIXIL)が11年12月7日、世界最大のカーテンウォールメーカー・ペルマスティリーザ(イタリア、以下ぺルマ社)の全株式を取得、これが大型M&Aの第1弾となった。買収額は日本円換算で約608億円。カーテンウォールとは、総ガラス張りの高層ビルなどに使われる外壁材で、ペルマ社は、日本でも東京ミッドタウンなどの建築プロジェクトに携わっており、11年の年商は約11億ユーロ(約1200億円)となっている。
潮田会長はM&Aにかけては、「買収王」と言われた父親に負けていない。会長就任後、システムキッチンのサンウェーブ工業やアルミサッシの新日軽など数々のM&Aを成功させてきた。昨春、トステム、INAX、サンウエーブ工業、新日軽など5社を統合して設立したLIXILが買ったペルマ社が過去最大の案件となった。”海外売り上げ1兆円”に向けた戦略的買収であることはいうまでもない。
ペルマ社は欧州、北米、アジアなど世界27カ国で事業を展開している。ペルマ社のこの経営システムを住生活Gの内部に取り込み、ペルマ社化することが狙いだろう。ペルマ社のようなグローバル企業にグループ全体で大変身を遂げるのが夢だ。そこで、LIXILは子会社にした海外企業の外国人幹部を4月1日付で2名、執行役員に登用した。