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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第4回 八郷隆弘氏(本田技研工業 代表取締役社長執行役員)後編

「とんがりを失った」ホンダ、完全復活の予兆…過去と決別の「聖域なき経営改革」断行

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
「とんがりを失った」ホンダ、完全復活の予兆…過去と決別の「聖域なき経営改革」断行の画像1八郷隆弘(はちごう・たかひろ)/本田技研工業株式会社 代表取締役社長執行役員。1959年生まれ。82年本田技研工業入社。2008年執行役員、10年購買本部購買二部長、11年生産本部鈴鹿製作所長、12年ホンダモーターヨーロッパ・リミテッド取締役副社長、本田技術研究所常務執行役員、ホンダR&Dヨーロッパ(UK)リミテッド取締役社長、13年中国生産統括責任者などを経て、14年常務執行役員。15年6月より現職。

 ホンダは2015年3月期以降の2年間に、タカタ製エアバッグ問題の関連費用5560億円を計上して一定のメドをつけ、今、回復基調にある。

 15年12月には、ホンダジェットの顧客引き渡しが開始されたほか、16年には米欧日でスーパースポーツカーの新型「NSX」を発売。ブランドイメージを高めると同時に、17年3月期の営業利益は前期比19%増の6000億円を見込むなど、業績も堅調だ。

 しかし、国内市場は500万台を切り、低迷する。国内自動車メーカーは、今ひとつ勢いに欠ける印象だ。完全復活へ、ホンダはいかに取り組むのか。ホンダ社長の八郷隆弘氏に話を聞いた。

課題は組織にある

片山修(以下、片山) 今年4月の組織変更では、研究所の体制を変更しました。従来、ホンダの四輪開発は、モデルごとの開発責任者であるLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)が大きな権限を持っていました。今回、そのうえに「ホンダ」「ホンダスモール」「アキュラ」の各商品開発責任者、「ホンダ」「アキュラ」の各デザイン責任者、完成車の走りの責任者をつけ、それらの横に管理の責任者という7つのポストを設けました。

八郷氏(以下、八郷) 機種開発をきちんと進めるためです。地域専用車を強化するなかで、グローバル車がおろそかになっていたことはすでに触れました。開発、デザイン、走りに責任者を置くということは、つまり、たとえば北米からも、日本を考えたクルマづくりをするということです。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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