レンタカーの外国人利用客は台湾、韓国、香港で全体の9割を占めている。このうち台湾と韓国は日本と反対の右側通行。運転上の不慣れや日本語標識が読めないなどの報告もあるという。沖縄県のレンタカー協会は「外国の方が運転しています」という表記のステッカーを貼ったり、中国語や英語版の交通ルールの冊子を配布したりと対策に取り組む。
なかには、所有する車両約2500台すべてを、車線はみ出しアラーム、ドライブレコーダーなど、事故防止機能がついた車両に更新する取り組みを行っているレンタカー会社もある。事故対策が急務となっているのだ。
北海道では観光中に死亡事故の加害者に
沖縄と並ぶ人気観光地の北海道でも、外国人客のレンタカー利用が増えている。いささか古いデータだが、13年度上半期の外国人利用件数は1万550件で前年同期比79%増となった。直線区間が長い、野生動物の飛び出しが多い、降雪や凍結など、北海道特有の道路事情もあって、事故はなくすことは困難だ。16年9月には、道内を観光中の38歳の外国人が運転するワゴン車(レンタカー)が、帯広市内の交差点で信号を無視して進入。右から来たトラックと出会い頭に衝突し、トラックの運転手が死亡する事故が発生した。この外国人は逮捕され、警察の取り調べに「赤信号になったので減速したが止まらなかった」と供述したと報じられた。
外国人利用客の事故を防ごうと札幌レンタカー協会は、実際の事故の様子をドライブレコーダーで記録した映像を含む10分間の安全運転啓発ビデオを制作し、ホームページで公開した。現在、日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語の5カ国版が用意されている。さらに「北海道ドライブまるかじりハンドブック」(5カ国語対応)も用意するなど、事故防止対策を強化している。
政府は20年までのインバウンドの目標を2000万人から4000万人に引き上げた。17年度予算案では、観光庁の予算を過去最大の256億円としたほか、他省庁も観光関連予算を拡充した。予算措置をして外国人を呼び込むだけでなく、トラブルを未然に回避するハード、ソフト両面の受け入れ態勢の整備・拡充が不可欠だ。
(文=編集部)