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ソフトバンク、際限なき巨額投資で「利益相反」の恐れ…天文学的負債膨張が経営圧迫

文=編集部

足かせとなっている米スプリントは売却か

 米国ビジネスのアキレス腱は、携帯電話事業だ。ソフトバンクは13年に1兆8000億円で米携帯電話3位(当時)のスプリントを買収した。4位のTモバイルUSと合併させ、ベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tに対抗する第三の勢力をつくる構想だった。ところが、当時の米連邦通信委員会(FCC)が認可しなかったため、合併を断念せざるを得なかった。現在、スプリントは4位に転落し、ベライゾンやAT&Tの背中は遠く離れている。

 トランプ政権は、通信業界の規制を緩和する方針を掲げている。そのため、ソフトバンクは13年に果たせなかったTモバイルUSを買収し、スプリントとの合併に再挑戦するとの観測が流れた。一方で、真逆の報道もある。ロイター通信は2月17日、ソフトバンクが米携帯電話スプリントの経営権を、3位のTモバイルUSの親会社であるドイツテレコムに譲渡することを検討していると報じた。スプリントとTモバイルUSを合併させ、ソフトバンクは統合後の会社の少数株主になる意向だとしている。

 現在、米国は周波数帯の入札の期間中で、携帯電話会社同士の協議は禁止されているが、4月の入札終了後は交渉が解禁される。この時点で、「孫社長はTモバイルUSの親会社であるドイツテレコムにスプリントの売却を持ちかける」という関係者の話を伝えた。

 ソフトバンクの16年4~12月期の連結決算(国際会計基準)によると、スプリントのセグメント営業利益は1452億円の黒字。コスト削減とネットワークの改善が寄与した。13年同期のセグメント営業利益は581億円の赤字で、そこから大幅に改善した。

 こうしたなかでスプリントの売却報道が出るのは、ソフトバンクがスプリントを持ちきれなくなった証左だとする見方が上がっている。孫氏は、当初計画していたスプリントとTモバイルUSのセット買収に挫折してからは、携帯電話事業への関心を失ったといわれている。

 今、孫氏は、あらゆるモノがネットでつながる「IoT」事業に目を向けている。昨年9月、新たに連結決算に加えたアームは、売上高688億円、セグメント営業利益302億円という驚異的な利益率で初年度から貢献した。

 それでも、アームを3兆3000億円で買収したことで有利子負債は増加した。16年12月末時点の有利子負債は14兆9157億円と、同年3月末に比べて2兆9933億円増えた。

 アームを中核としてIoTの世界で飛躍を目指すには、膨れあがった有利子負債がネックになる。このうちスプリントの有利子負債は、16年12月末時点で4兆5220億円と3月末比547億円も増えている。やっと収益が改善傾向にあるとはいえ、スプリントの有利子負債が経営の重石になっていることは間違いない。

 ソフトバンクは14年末にスプリントの売却を検討したことがある。IoT事業への経営資源に集中する方向性が明確になった現在、足かせであるスプリントの売却が現実味を帯びてきた。
(文=編集部)

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