3月14日付時事通信によると、総務省消防庁と国土交通省は、埼玉県三芳町にあるオフィス用品通販大手アスクルの倉庫が12日間燃え続けた火災を受けて、今後の防火対策を探る検討会の初会合を開いたという。
大火災が発生した物流倉庫、アスクルロジパーク(ALP)首都圏は法人向け通販サイト・アスクルや個人消費者向けのLOHACO(ロハコ)で扱う商品約7万点を、首都圏をはじめとする東日本地域に配送する物流拠点だ。
ここで2月16日朝に火災が発生した。最新鋭の設備が整っていることもあり、当初はほどなく鎮火すると思われたが、鎮火にこぎ着けたのは発生からなんと12日後の2月28日。延べ床面積7万2000平方メートルのうち東京ドーム1個分にあたる4万5000平方メートルが焼失した。
今回の火災は、フォークリフトで廃棄用段ボールをトラックに積み込もうとした際、タイヤが段ボールの上で空回りして煙が出たことが出火原因とされている。
それにしても、なぜ12日間も燃え続けたのか。国交省の調査によって防火シャッターの一部が作動しなかったことが明らかになった。
個人向け通販ロハコが大打撃
アスクルは3月9日、大火災後初めて記者会見を開いた。岩田彰一郞社長は「今年9月にネット通販の完全復活を目指す」と述べた。早期復旧に向け、3月末までに埼玉県や都内で臨時の小規模な物流センターを稼働させる。さらに9月末をめどに、もうひとつ倉庫を設け正常化を目指す。
火災後、ロハコの拠点を横浜市の倉庫に切り替えたが、スペースに限りがあり、3月上旬時点で2万2000種類に欠品が出た。一部では配送が10日以上遅れており、ロハコで注文を受け付ける時間を3月21日から短縮した。
2017年5月期の連結決算は「倉庫がまったく使えなくなった場合、最終赤字に転落する可能性がある」(玉井継尋執行役員)とし、見通しは暗い。売上高は前期比10.5%増の3480億円、営業利益は11.5%増の95億円、純利益は4.6%増の55億円と増収増益を見込んでいたが、6年ぶりに最終赤字に転落するのは不可避との見方が広がっている。16年5月期は52億円の最終黒字だった。
損失は、建物や在庫で最大121億円。倉庫の建物やソフトウェア、商品在庫などの帳簿価格の合計額である。加入している火災保険、運送保険から最大46億円の保険金を受け取れる見通しだという。これは資産の簿価のおよそ4割に相当する。
倉庫周辺の安全確保のための調査費用や、物流費の増加分なども勘案して、17年5月期の連結業績への影響を最終的に判断するという。商品を置いていた2、3階が主に燃えたことが、欠品が続く原因となった。