現代の社会生活を便利にしているツールは数多く存在するが、クレジットカードがそのひとつであることは間違いない。大金を財布に入れておかなくても安心して買い物をすることができ、使っているカードによっては、支払いをすることでポイントが貯まり、そのポイントでさらに買い物ができたりするから、もはや現金で支払うメリットを感じさせないほどだ。
しかし今、このクレジットカードをめぐって、トラブルが多発している。利用者本人が意識しないうちにリボルビング方式の支払い、通称「リボ払い」に設定されていたというものだ。具体的には、クレジットカードをつくる「カード契約締結」の際、カード会社からはカードをつくることによる特典ばかり説明を受け、肝心なクレジットカードの機能については、細かい説明がないまま契約書や規約だけ渡され、いざカードが送られてきて使用してみたら、初期設定がリボ払いになっていたというのである。
リボ払いにすると、毎月一定額しか口座から引き落としがなされないために、計画的な支払いができるというメリットがある。その半面、支払い終了まで長く手数料を払い続けなければならず、最終的に多額の手数料を取られることになる。
明確な説明がないままに、このような大きなデメリットのあるリボ払いを初期設定にして、カード会社が消費者にカード契約を締結させることに問題はないのか。消費者問題に詳しい増田拓真弁護士は、次のように話す。
「リボ払いを初期設定とする場合、割賦販売法により、カード発行会社は契約締結時にその旨が記載された書面を交付しなければならないとされています。そのため、そのような書面の交付が一切ないにもかかわらず、初期設定がリボ払いとなっているような場合には、当該契約は同法に違反することになります。もっとも、たとえ小さい文字であっても、契約時に利用者に交付される契約書や規約にその旨の記載があれば、違法とはいえません。たいていの場合、契約書や規約に記載があると思いますので、同法違反が生じるケースは極めて限られるでしょう」
カウンター等で説明をして契約書の記入をサポートするカード会社の担当者は、申し込みに来た消費者に対して、カード契約締結の際にリボ払いの設定になることを、口頭では説明をしなくても構わないというのである。しかし、契約書や規約を渡して、それを読むよう促すだけで、その書面に初期設定がリボ払いである旨が記載されていれば違法ではないというのは、納得がいかないという消費者も多いのではないだろうか。