著者は昨年12月24日付当サイト記事『日清、異例の「3年後までにカップヌードル減塩」宣言に秘められた「警告」?』で、食品表示法によって「消費者の購買行動に大きな変化をもたらすことになるだろう」と述べた。
そこで、塩分(食塩相当量)についてもう少し触れてみたい。講演で塩分の事例としてドレッシングを紹介すると、あまりにも含有量が多いことに多くの方が驚かれる(表1参照)。例えば、同じ「ノンオイル青じそ」を謳う商品でも、大さじ約1杯(15g)当たりで、リケン商品は0.8gに対し、キユーピー商品は1.2gもある。
1.2gということは、カップ麺1個に含まれる塩分(約4.2g)の約29%だ。サラダにドレッシングをかけるとき、大さじ1杯で済むだろうか。テレビのコマーシャルのように、容器からなみなみと注げば、大さじ2~3杯分になるだろう。そうなると、ドレッシングだけでカップ麺に相当する塩分を摂取する可能性がある。いくらノンオイルだといっても、誰でも塩分の過剰摂取は避けたいだろう。
前回の繰り返しになるが、塩分の目標摂取量は、厚生労働省の2015年版「日本人の食事摂取基準」では、一日当たり男性8g未満、女性7g未満である(年齢は男性12歳以上、女性10歳以上)。一方、日本高血圧学会は男女とも一日6g未満、世界保健機関(WHO)は男女とも5g未満を推奨している。
食品表示法では、栄養成分の義務表示がナトリウム量から食塩相当量に変更されている。20年3月末までにはナトリウムの量を表示できなくなり、食塩相当量がgで表示されることになる(表2参照)。
こうした表示の改正は、意外と消費者行動に変化をもたらす。減塩志向がますます強まるだろう。多くのドレッシングが、大さじ1杯で1g前後の塩分を含んでいる。くれぐれもかけ過ぎないように注意してほしい。
ちなみに、キユーピー「マヨネーズ」の塩分は、大さじ約1杯で0.3gとドレッシングよりもかなり低い。ただし、塩分が低くても、エネルギーは大さじ約1杯で100kcalもある。ノンオイルドレッシングの多くは数kcalだ。
そこで、塩分を取るかカロリーを取るかで悩むのではなく、どちらも少なく摂取するように心がけよう。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)