「三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、G-SIFIsの一角として厳しい国際金融規制の適用を受ける。グループ内で地銀ビジネスを成長させるにあたり、国際規制が制約となる状況も生じつつある」
3月3日の“七夕統合”となった三井住友銀行系列の関西アーバン銀行とみなと銀行、りそな銀行系列の近畿大阪銀行の関西3地銀の統合会見で、三井住友銀行の國部毅頭取(当時)は統合の主因に、同行が直面する国際的な自己資本規制の圧力があることを認めた。三井住友銀行は関西アーバン銀行の議決権の49.36%、みなと銀行の44.97%を保有する両行の筆頭株主。しかし、このまま両行をグループ内に抱えたままでは、自己資本比率の観点から国際競争力を維持できないと正直に吐露したわけだ。
確かに、再編後も三井住友銀行は両行の20%超の株式を保有し持分法適用会社とするものの、ガバナンスは50%超の議決権を握るりそな銀行に移る。事実上、三井住友銀行は両行から離れ、あとは国内規制に準じるりそな銀行に任せるという意思表示にほかならない。実際、この一連の持株低下で「三井住友FGの国際的な自己資本比率は0.5%引き上がる」(関係者)とされる。それほど3メガにとって、国際的な自己資本規制、いわゆるバーゼル規制は経営の最重要課題になっている。
そのバーゼル規制の先行きがここにきて不透明となっていることに、3メガは神経を尖らせている。
主要国の銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は、1月のGHOS(中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ)会合で予定していた銀行の新しい資本規制の枠組みに関する合意を延期した。昨年11月末の年内最終会合で「各種のリスク計測手法」については概ね合意したものの、リスクアセット全体の水準を調整する「資本フロア」についての調整が難航しているもので、最終合意の時期は「近い将来」との表現で先送りされたままだ。
「バーゼル3【編注:正式表記はローマ数字、以下同】」と呼ばれる新しい銀行自己資本規制は、国際的に活動する銀行が対象で、金融危機に瀕した時に損失を穴埋めできる十分な自己資本を銀行に持たせることが目的。だが、厳格な枠組みを求める米国と柔軟な枠組みを主張する日欧との隔たりが埋まっていない。