2018年卒学生の採用は大企業がほぼ終了し、中堅・中小企業に移り始めている。さらに19年卒学生に対するインターンシップの受付も開始されている。
18年大卒の民間企業就職希望者数は42.3万人。一人当たりの求職者に対してどれだけの求人数があるかを示す求人倍率は1.78倍と前年の1.74倍を若干超えるなど売り手市場が続いている(リクルートワークス研究所)。といっても、誰もが希望する企業に入れるわけではない。
とくに大企業志望の学生は多いが、入れるのはごくわずかにすぎない。インターン選考など採用戦略が多様化するなか、企業は学歴を含めてどういう基準で学生を選別しているのか。IT系企業、建設関連業企業、食品企業3社の人事担当者に集まってもらい、今年の就職戦線の選考実態について話を聞いた。
学歴フィルター
司会 企業はインターンや企業説明会の参加者を決める際に、偏差値上位校に絞るいわゆる“学歴フィルター”をかけているといわれます。実際はどうなのでしょうか。
建設 当社のインターンシップ参加の可否を決める選考では、基本的に面談で判断するので学歴フィルターはかけていませんが、同業他社では大学のブランド名ではじいているところもあるようです。ただし、男女比は調整しています。しかし、結果として応募者の母数としてMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)クラスが多く、日東駒専(日大、東洋、駒沢、専修)クラス以下の応募は少ないですね。
IT 企業説明会では会場のスペースの関係もあり、当社の採用実績校など一定の大学とそうでない大学に分けて開催しています。大学名で分けるのはある程度意味があると思う。早稲田、慶応など偏差値の高い大学にいるということは少なくとも受験プロセスとして受かるための学習をしているわけで、社会人になってもそれと同じことを再現できるだろうと見ています。言い方は悪いが、二流、三流校と言われる大学にいる人よりも勉強のやり方は知っている。だから学歴フィルターは優秀な人材を採るための確率論として有効だし、なくならないと思います。もちろん入口の目安であって、実際に採るかどうかはその後の選考で判断しますが。
食品 実際に内定を出した学生も偏差値上位校が多いですね。実は3年前に特定の大学に偏りすぎているのではないか、大学の多様性も必要じゃないかと上に言われ、学生に人気のある複数の大手企業が採用した大学を調べたことがあります。約8割が旧帝大や早慶、残りの2割が他の国立大とMARCHクラスが占めていました。
その理由を聞くと、「たまたまです」とか「採れそうだと意図的に採りにいきます」と言っていましたが、「うちよりも多様性がないじゃないか」と思いましたよ。