大企業志向
司会 18年卒大学生の求人倍率は1.78倍と高いですが、従業員5000人以上の企業では0.39倍と前年の0.59倍より低下しています。学生の大企業志向が強まっていますが当然、不合格になる学生も多くなります。
建設 肌感覚としても大企業志向が高まっていると感じます。私たちの世代を含めて以前は大学ヒエラルキーによって入れる企業が暗黙の了解で決まっているところがありました。「この大学ならこのクラスの企業だよね」と。でも、今の学生は明らかに入れない大学の学生でも大企業を目指しています。それに対して大学側も何も言わない。
学生も堂々としたもので、「なぜ大学フィルターをかけるんですか」「どうして入れないですか」と平気で聞いてくる。企業側も「いい人であれば採ります、大学は関係ありません」と言っているものだから、「明らかに入れないよね」というのがなかなか浸透していきません。
IT 受けるのをやめたらと言えばいいのですが、そう言うと自尊心が傷つけられてしまう。であれば丁寧に説明することです。大学入試は偏差値によって受ける大学が大体決まり、そのなかでの実質的な倍率は大体3~5倍です。東大、東工大を受験する人は日大を受けませんからそのぐらいになります。でも大企業に入りたいという人はエントリーシートを出した人を実数とすれば、内定を取る人は数百倍から1000倍の競争率になります。しかも偏差値の高いトップクラスの大学生が業界1位の企業を目指しているわけです。
食品 落ちる確率も高いし、そこに受かるのは奇跡に近い。そのことを大学側も学生に説明しないと過大な期待を抱いてしまうことになるし、学生もかわいそうです。
選考方法
司会 採用面接では複数回に分けて学生を見極めるわけですが、各社各様のやり方があると思います。どういう方法で選んでいるのですか。
建設 一次面接は20代後半から30代前半の主任クラスの社員が15分間面接します。一応、会社の理念、チャレンジ精神、やりきる力、リーダーシップなどいくつかの評価指標を与え、○×△をつけてもらうようにしています。1つでも×があると2次面接には進めません。2次は課長クラスが同じやり方で面接します。
ただ、社員はアセスメントの能力があるわけではないので、どうしても自分に近い考えを持っている学生が良い学生に見えてくるものです。自分に合わないと良くないというように好き嫌いで判断してしまう。個人的には面接という手法はそろそろ限界かなと思っています。そういう意味では、採用の中心がインターンに流れていくのは自然かなと思います。