ソニーからPC事業を分離して設立されたVAIO株式会社が3周年を迎えた。8月1日には6月に就任した新社長が経営方針説明会において、弱りつつある日本ブランドの再起を訴えた。
VAIOは設立2年目には早くも黒字転換を果たしており、PC事業を起点にロボットやVRなど新規事業にも手を広げている。果たしてVAIOはどこへ向かうのか、説明会で語られた内容を読み解く。
独立したVAIOは堅実なビジネスPCのブランドに
VAIOといえば、1997年に登場した「バイオノート505」に代表されるように、それまでのPCとは一線を画したおしゃれなイメージが根強くある。その後もソニーの技術力を生かし、海外メーカーにはない多彩なPCで日本のユーザーを魅了してきた。
だがソニーの業績悪化に伴い、2014年にはPC事業を分離。ブランド名がそのまま会社名となったVAIOは、別会社として再出発を余儀なくされた。ソニーとの関係はいまも続いており、ソニーストアではVAIOを販売し、いまなおVAIOを使用するソニー社員も多い。
とはいえ、VAIOが独立した時期は折しもPC市場に陰りが見え始めた頃でもある。PC事業を主軸としたVAIOが生き残っていくのは困難であり、大手メーカーとの合併などを模索するのではないか、との見方が多かった。
それから3年、VAIOは当初の予想を上回る成果を残している。PC事業では、堅調な法人市場に向けたビジネスPCを主軸とすることで生き残りを図った。かつてのVAIOに比べると派手さはないが、着実に利益を生む製品に絞り込んだ。
もちろん、法人市場はそう甘くはない。国内外の大手メーカーが販路や保守体制を築き上げてきた一方、VAIOは個人向け販売が大半を占めてきたからだ。そこでVAIOは、法人向けの販売体制をつくるところから始める必要があった。
これを下支えしたのが、VAIOのブランド力だ。PC製品としてのVAIOの知名度は非常に高く、いまだに自宅のPCはVAIOという人も多い。会社支給のPCとしてVAIOを選べるようにするだけで、従業員のモチベーションが上がるという。