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日本橋・首都高の地下化、一大構想が始動…予算5千億円争奪戦

文=編集部
日本橋・首都高の地下化、一大構想が始動…予算5千億円争奪戦の画像1東京・日本橋(「Wikipedia」より/Aimaimyi)

 東京・日本橋の真上を走る首都高速道路について、国土交通省は7月21日、東京都や事業主体の首都高速道路株式会社と地下化に向けた協議を本格化させる方針を明らかにした。2020年東京五輪・パラリンピックの閉幕後の着工を目指す。

 日本橋の上に首都高が建設されたのは前回の東京五輪前年の1963年。当時はインフラ整備が急務で、用地買収の必要のない河川の上に高速道路を走らせた。東海道の起点は江戸・日本橋で終点は京都の三条大橋。国の重要文化財でもある日本橋の上空を高速道路が覆い、景観を損ねたとの批判が強かった。

 日本橋の首都高地下化構想は、これまでもたびたび浮上した。小泉純一郎首相の私的諮問機関「日本橋川に空を取り戻す会」が2006年に具体案を盛り込んだ報告書を発表したほか、国土交通省の「首都高速の再生に関する有識者会議」も12年に地下化に言及した提言をまとめている。14年に首都高の更新計画が策定され、16年には国家戦略特区の都市再生プロジェクトに日本橋周辺の再開発が追加された。

 さらに今年6月6日、地元民間団体である「名橋『日本橋』保存会」と「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」が、首都高の撤去・移設に関する請願書を11万2665人の署名とともに参議院議長宛てに提出。15年9月の衆議院議長宛ての32万9500人の署名と合わせて計44万人強が首都高撤去を国会に請願したことになる。こうした地元の動きを受け、中央区も7月14日に国交省と都に対して、首都高地下化に協力することを申し入れた。

 こうした経緯から、悲願とされてきた日本橋の首都高地下化計画が動き出した。地下化の予算は5000億円規模とされ、大きなビジネスチャンスが訪れた。

安藤ハザマや奥村組の株価が上昇

 ダムやトンネルなど大型土木工事が得意な名門ハザマは、13年4月に民間建築が主力の安藤建設を吸収合併して、安藤ハザマが誕生した。同社の株価は7月24日に3日続伸となった。終値は前営業日(7月21日)比57円(7.9%)高の773円をつけた。その後も800円前後と堅調である。首都高の建設やトンネル工事で実績がある安藤ハザマに、連想ゲームのような買いが入った結果だ。

 免震技術やトンネル施工で定評のある関西系の中堅ゼネコン、奥村組の株価も上昇。8月8日に年初来高値の829円をつけた。4月14日の年初来安値626円の1.3倍となった。

 関連銘柄の筆頭は、「日本橋の大家さん」としてすでに周辺開発を進めている三井不動産との指摘もある。首都高の地下化も、三井不動産との連携がうまくいかなければ成就しないといわれている。

 株式市場筋の間で首都高地下化関連銘柄として取り沙汰されているのは、大成建設、大林組、清水建設、鹿島建設のスーパーゼネコン4社。高架橋の補修の先駆けで最大手のショーボンドホールディングス、JR東日本が筆頭株主の東鉄工業、道路舗装のNIPPO。地質調査の応用地質やボーリングで実績のある鉱研工業、地盤改良など基礎工事では日本基礎技術の名前も挙がっている。

 日本橋の周辺5地区で再開発に向けた動きが加速している。いずれの地区も、準備組合が国家戦略特区制度や首都高の地下化に伴う土地の高度利用を図る施設計画の検討を進めている。

 日本を代表する金融街・兜町の再開発の機運も高まってきた。中央区が外資系を含む金融関連企業などの誘致に向け、新たな計画を策定する。計画の第1弾として、東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所の大家である平和不動産が、地上15階建て、高さ90メートルの複合ビルの建設に2018年度に着手する。再開発の対象は東証の周辺地域。東京ドーム2個分の面積を想定している。
(文=編集部)

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