一方、期間限定の新メニューの場合は仕入れ量が多くならないため、定番メニューと比べて仕入れ価格を抑えることは難しい。原価率はどうしても高くなってしまう。また、価格が安いメニューは利益を削って価格を抑えている面があるため、利益率は低くなる。こういったことが影響し、16年の利益率は低水準で推移せざるを得なかったと考えられる。
損益計算書を確認したところ、16年12月期の粗利益率は13.8%だった。鶏肉問題前の13年12月期の14.7%、09~12年12月期の18~21%と比べると、16年12月期の粗利益率の低さがわかる。さらに、期間限定の新商品を打ち出すにはそのたびに宣伝する必要があるため、その費用が余計にかかってしまうという問題もある。その場合は、営業利益を損なうことになる。こうしたことから、16年12月期は利益率が低い期だったことがわかる。
こうしたこともあり、17年は利益率を高めるために定番メニューを強化していったと考えられる。期中ではあるが、17年1~6月期の粗利益率は前年同期と比べ6.8ポイント高い17.5%となっている。定番メニューを強化したため、粗利益率が高まったといっていいだろう。既存店の客単価も上昇し、17年1~6月期は前年同期と比べ2.6%増加している。
マクドナルドは新たなステージに入ったといえるだろう。価格訴求や話題性を高めることで客足を戻すステージから、定番商品を中心に商品価値を高めることでリピーターを増やすステージへ移行しているのではないか。リピートしてもらうには、やはり定番メニューがしっかりしていないと難しい。
好調な業績を受け、マクドナルドは17年12月期通期の業績見通しを上方修正した。売上高は前年比9.6%増の2485億円、営業利益は同2.4倍の165億円、純利益は同3.7倍の200億円を見込んでいる。実現すれば、純利益は上場後で過去最高を更新することになる。今期は、マクドナルドにとって、ひとつの転換点となりそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。