プレミアムフライデー(プレ金)は導入から半年で、早くも見直しを余儀なくされた。
日本経済団体連合会(経団連)の榊原定征会長は9月11日、月末金曜日に早めの退社を促して消費喚起を図るプレ金について、「(経済産業省などと)一度総括して、実施の時期を含めて見直すことも検討したい」と語った。
榊原氏の発言を受けて、世耕弘成経済産業相は9月15日の記者会見で「産業界や消費者の意見を聞きながら、見直すべきところがあれば見直したい」と述べた。
月末の金曜日は、企業の月次決算や営業の繁忙日であることから、経済・産業界からは早めの退社は難しいとの声が出ていた。榊原氏は「月初(の金曜日)にしてほしいという声は非常に強い」として、実施日を月初めに変更するなどの対策を検討していくという。
プレ金は、政府と経団連など経済界が官民一体で消費を喚起しようと、今年2月にスタートした。経済波及効果は外食を中心に5000億円と試算され、鳴り物入りで始まったプレ金だったが、スタート早々に失速した。
インターネット調査会社インテージは、首都圏に住む20~59歳の2235人を対象に第1回のプレ金の実施率を調査した。
職場での実施状況を尋ねたところ、「実施された」は2.8%、「奨励された」は7.7%、「実施・奨励されなかった」は89.5%、そして実際に早く帰った人は3.7%だった。従業員500人未満の中小企業では、9割以上が実施も奨励もされなかった。早帰りできたのはプレ金の旗を振った経団連加盟企業だけで、少数にとどまった。
全国的なイベントは、1回目で勝負が決まる。回を追って実施率が高まるということは、期待できない。実際に、2回目以降はプレ金が話題に上ることさえほとんどなかった。
プレ金は消費喚起が目的だったが、安倍晋三政権が掲げる「働き方改革」とセットになった。早く帰ることを奨励するのは、カネを使わせるためなのか、家に戻ってゆっくりさせるためなのか――。一石二鳥の妙案とはいかなかった。「二兎を追う者は一兎をも得ず」の結果で終わった。
経産省の役人が机上で考えたプランは、経済・産業界の実情とかけ離れた作文にすぎなかったわけだ。